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『シティ・マラソンズ』
- 2020/10/13(Tue) -
三浦しをん、あさのあつこ、近藤史恵 『シティ・マラソンズ』(文春文庫)、読了。

スポーツもののヒット作品を持つ女性作家3人が描く、
ニューヨーク、東京、パリのシティマラソン。

三浦しをんはコメディタッチの作品で、かつて長距離選手だった主人公が
社長の密命でNYシティマラソンを走らされるという風変わりな設定のもの。
マラソン初挑戦かつ本人がマラソン挑戦に興味がないという立場で描くので
マラソン体験記みたいなノリになっています。

私自身、マラソンに興味がないので、大規模なイベント運営という観点で
いろいろ考え尽くされシステム化している様子の描写には「へぇ」と感心しましたが、
そういう社会科見学的な要素が小説の味付けを上回ってしまっているような印象で
あんまり作品には入っていけませんでした。

個人的に一番好きだったのは、あさのあつこさんが描いた東京マラソン。
高校の陸上部でエース部員だった主人公と、その控え選手だった親友との物語。
エースの怪我、退部、そして仲の良かった女子との三角関係も絡んできて、
非常に王道な部活ものなんですが、視点を30歳になった時に置いて、
主人公が勤めるスポーツ用品メーカーの職場の様子も絡めており、
その多層構造のおかげで面白く読めました。

王道な設定の部活ものを描き切る力量はやっぱり流石だなと思います。
その分、東京マラソン自体の描写は、あくまで舞台装置に過ぎない扱いなので、
しをん作品でワクワクした人には、ギャップを覚えるかもしれません。

最後は、パリに語学留学した若い女性が主人公。
バレリーナの道を断念し、何かから逃げるようにパリにやってきたため
何となく身の入らない日々を送っている中で出会った犬と一緒にジョギングをする女性。
その姿に刺激を受けた主人公自身もジョギングをするようになり、
いつしか少しずつ交流が深まっていきます。

ドイツにバレエ留学している妹がクリスマス休暇にパリに遊びに来て、
主人公自身、自分の人生や、バレエ教室を運営する母との関係などを改めて考えることになるのですが
まじめに向き合う娘だなぁと好感を持ちました。

ジョギングをする女性との交流は、終盤に大きな変化を迎えますが、
その変化の受け入れ方も含め、きれいな物語だったなと思います。

三者三様のマラソンの描き方、スポーツとの向き合い方が面白い一冊でした。




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