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『幾千の夜、昨日の月』
- 2020/10/11(Sun) -
角田光代 『幾千の夜、昨日の月』(角川文庫)、読了。

一時期、女性作家さんのエッセイを読むのを意識的に止めていた時期がありました。
女性誌のエッセイコーナーが多すぎるのか、みんなどんどんエッセイを書いており、
当時の私には書き散らかしているように思えてしまっていました。
もうちょっと作りこむ労力が込められていそうな小説作品だけにしよう、
そうしないとキリがないわ・・・・と。
今も、あんまり本業小説家さんのエッセイは買いすぎないように気を付けています。

なので、角田さんのエッセイは多分初めてのはず。
実は、エッセイだと思わずに本作を買ってました。
タイトルから、夜に関する短編集なのかなと。

内容は、夜に関するエッセイ集でした。
私が昔苦手意識を持った「書き散らかしたような」エッセイではなく、
しっかりと「夜と私」という軸の通った骨太のエッセイ集だったので読みごたえがありました。

特に多くのページを割かれていたのが「旅先での夜」の話。
大学生時代から、アジア各国を独りであちこち行ってる行動力がすごいなと。
最低層の安宿に泊まったり、地元民が使う寝台車に乗ったり、虫やネズミやゴキブリに囲まれて寝たり、
よくそんな環境に女一人で居られるなぁと思ってしまうので、
「すごいな」とは思いますが「私もこうなりたい」とは思いません(苦笑)。

一人旅は、国内旅行なら私も何度かしたことがあるのですが、
一人旅って、ある意味、知らない人と仲良くコミュニケーションすることを楽しめないと
意外と夜が苦痛だったりします。
一人旅の人ばかりが集まるような宿だと、夕食から寝るまでの間が交流タイムみたいな感じになるので
知らない人と楽しく会話できると寝るまで楽しいです。

私も、20代のころは、そういう場でワイワイお酒を飲みながら話しているのが好きでしたが、
30代になってきたら、夜はじっくり一日を振り返る時間として一人で過ごしたいなと思うようになり
今もゲストハウスはよく利用しますが、基本的にビジネスライクな宿を定宿にしてます。
ユースホステルに近いようなイベント盛りだくさん的なホテルは避け気味かな。
まぁ、旅行する時間が無くなり出張ばっかりだから宿で仕事する時間が欲しいというのもありますが。

このエッセイを読んでいて、旅行の話は学生時代や20代の話のように思えたのですが、
著者は年齢を重ねても、こんな一人旅を続けてるのか興味があります。
30代、40代で、どうやって一人旅、特にその夜を過ごしているのか気になります。

また、旅行記の合間合間に日本での日々の暮らしにおける夜の思い出が挟まっているのですが
日常が時々出てくるので、旅行の話ばかりが続くよりも、「旅」というものを強く感じさせてくれる
構成になってるんだなと思いました。

1本1本のエッセイも、しっかりと内容が作りこまれているような重みというか、
著者自身の思いが込められているようで、良かったです。

角田エッセイは今後も読んでいこうかな。




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