西村京太郎 『闇を引き継ぐ者』(祥伝社文庫)、読了。
忙しいので、お気楽な十津川警部でも・・・・・と思って手に取ったのに、
事件の推理というよりは猟奇サスペンスものといった作品で、
気持ち悪いけど展開が気になって読み止められない・・・・という感じでした。
結果、睡眠不足が加速(苦笑)。
死刑が執行された連続殺人犯のもとに、執行前の1年間にわたり通い続けた男がおり、
その男が正統な後継者を名乗って、新たな連続殺人を繰り広げるというもの。
殺人犯の逮捕に向けて捜査を進めていくという感じではなく
十津川警部は、ただただ翻弄される警察組織の顔としての存在にすぎず、
いいようにやられっぱなしです。
単に女性を殺すだけでなく、死の恐怖に苦しむ姿をどう楽しむか、
周囲の邪魔な人間はどう効率的に抹殺するか、そして弟子になりそうな人間をどう洗脳するか
とにかく犯人の歪んだ不気味な人間性がえぐり取られるかのように描かれていきます。
気持ち悪い。
でも、どう展開していくのか気になって読み止められない。
そんな感じです。
こんな作品を描いてしまって、作者自身は、自分のことが怖くならないのでしょうか。
それほど、人間の恐ろしい側面を文章に落とし込んでいる作品のように思いました。
早苗刑事は、なんだか職場復帰する方向で描かれていますが、
そこだけは腑に落ちず。
事件にこんな巻き込まれ方をした刑事が、すんなり職場復帰できてしまうという心理は
ちょっと理解できないです。
そこだけシリーズもののご都合主義を感じてしまいました。
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