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『イギリス人は「建前」がお得意』
- 2020/08/15(Sat) -
緑ゆうこ 『イギリス人は「建前」がお得意』(紀伊国屋書店)、読了。

イギリス在住の日本人女性が、自分の目で見たイギリス人の生態を描いたお気楽エッセイ本かと思いきや
著者個人の視点よりも、もっとイギリス社会全体に対する考察がされていて
社会科学的に興味深い本でした。

子供を持つ夫婦が極端に優遇されている状態に対する、子なし夫婦のやっかみや、
ティーンエイジャーが溺れるドラッグ地獄やシングルマザー化、
裁判員制度のひずみや、安楽死をどこまで認めるかという線引き等々、
国民全員が有する価値観が試されるような課題について考察されています。

この考察が、自分の周りにいるイギリス人の話だけでなく、
新聞などのメディアでの報道や、調査機関による調査の結果など
公的な資料にも当たって述べているので、分かりやすいです。

そして、日本人はどうしても、英国がこれらの社会課題に対して日本よりも優良な解を見出していると
思いがちですが、そうではないよという視点を与えてくれるので、面白かったです。
表面的にイギリスの制度を採り入れたら、日本も同じような混迷の事態に陥りそうです。

本作を通して一番興味を持ったのが、タイトルにもある、イギリス人の「建前」意識。
日本人も「本音と建前」と言いますが、その意味は「裏と表がありますよ」というぐらいで、
建前が、決して理屈が通っているわけではないと思います。

しかし、イギリス人は、建前は完ぺきな理屈の上に成り立っているべきだと考えているようで、
誰もが理想の建前を追及しているような姿勢が面白いです。
その理屈っぽさは日本人にはない一面かと思いますが、
でも、「建前」という概念がしっかり存在している国というのは、
日本にとっては親密さを覚えざるをえません。

日英比較文化論は、やっぱり比較文化論の基本ですね。




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