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『ポースケ』
- 2020/06/30(Tue) -
津村記久子 『ポースケ』(中公文庫)、読了。

「『ポストライムの舟』の5年後の物語」と裏表紙には書かれてましたが、
登場人物の誰がどうで・・・・というようなところまでは覚えていなかったので、
全く別の作品として普通に読みました。

が、読みづらい・・・・・・。

とある奈良の町にあるカフェが舞台で、そこに出入りする従業員や常連客が各章の主人公となる
連作短編集のような作りになっているのですが、
第一話で、従業員なり常連客なりが一気にわーっと登場してくるので、
誰が誰なのか人間関係を把握するのがしんどかったです。

気軽に読むつもりで手に取ったのに、序盤の人間関係把握に手間取り、
読み通すのにめちゃくちゃ時間がかかってしまいました。
第二話以降は、主人公の視点が移っていくので、
その人周辺の人間関係に絞られて、関係把握が簡単になりましたが、
それにしても、このカフェ、人の出入りが多すぎじゃない?っていう(爆)。

ただ、最後の解説にも書かれていますが、
本作に登場する人たちって、みんな真面目に一生懸命働きますよね。
言われてやるのではなく、自分で「これは自分の仕事だからきちんとやらなきゃ」みたいな
責任感に裏打ちされた行動です。

時には、その責任感のせいで、自己嫌悪に陥ったりして、
段々と自分の立ち位置を悪くしてしまったりして。

私自身は、それなりにうまく立ち回って火の粉を回避する方だったので、
本作の登場人物たちのような意味での苦労はあまり経験がないですが、
周囲を見ていて、「あぁ、こういう真面目なのに不器用な人はいるよなぁ・・・・・」と
同情してしまう気持ちになりました。

世の中、ほとんどの人は真面目に自分なりの職責を果たそうと頑張ってるんですよね。
でも、不器用だったり、不運だったりして、その努力が報われないという。

日本の穏やかな社会というのは、こういう真面目な人たちが作ってるんだなと
思い知らされる本でした。




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