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『海よりもまだ深く』
- 2020/05/28(Thu) -
是枝裕和、佐野昌 『海よりもまだ深く』(幻冬舎文庫)、読了。

タイトルには特に惹かれるものがなかったのですが、
著者が映画監督の是枝さんで、表紙絵に阿部寛さんが載っていたので、
コメディ系なのかな?と思って買ってみました。

小説家の新人賞を取ったっきり次の作品が書けず15年、
生活に困って、「小説のネタ探しに」という理屈付けで探偵事務所に勤めます。
しかし、まともに働くわけでもなく、自分より若い人間に仕事は押し付けて、
自分は、不倫調査の調査対象に不倫現場の写真を高値で買わせて、
依頼者には「シロです」と報告する恐喝まがいのことまで。

それでも生活に困り、事務所の若手に金を借りたり、姉の勤め先に無心に行ったり
実家で母の目を盗んで家探しして質草を探したり。

なんで、こんなダメ男が主人公になりうるんだろう・・・・・という軽蔑の目を向けてしまいがちになりますが、
一方で、憎み切れない一面もあり、ついつい先を急いで読んでしまいました。

離婚して母親についていった息子と月に1度の面会があり、
それを楽しみに毎日を生きているような男ですが、案の定、養育費が払えません。
小学校高学年の息子にも、そんな父親のダメさ加減はばれてしまっており、
どうしようもない男なのですが、憎めないのは、彼が、自分のダメさに気づきながらも
そこから脱することができないという、みんながどこかで感じている自分のダメさを
凝縮したような感じで見せてくれるからなのかなと思いました。

文章は、映画の原作というよりは、映画をノベライズしましたというような
会話文中心で表面を流れていくような感じだったので、
「男の苦悩を表現している」というには、ちょっと浅すぎる感じでしたが、
会話文で進んでいく軽さがあるからこそ、男の軽さも際立った感じがしました。

映画作品については全く存在を知らなかったのですが、
シニカルコメディだったのかな。
私の頭の中では、姉は、小池栄子さんが動いてました(笑)。




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