『異議あり日本史』
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- 2020/04/23(Thu) -
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永井路子 『異議あり日本史』(文春文庫)、読了。
一般的に知られている歴史のヒトコマについて、 著者の視点で異論を唱える歴史エッセイ。 そんなに思い入れもなく読み始めたのですが、 著者の力強い文章に、一気に引き込まれていきました。 著者のことはあまり知らないのですが、 男性っぽい迫力を感じる文章だと思いました。 1つ1つのテーマに充てている文章量は短いので、 そんなに深掘りしているわけではないと思うのですが、 ズンズン話が進んでいくので、テンポの良さと文章の強さをもって 「こんな歴史の解釈があっても面白いな」と思えてきます。 歴史の題材って、同じテーマをいろんな作家さんが扱いますが、 同じものを語っていても、ワクワクドキドキするものもあれば、つまんないものもありますよね。 結局、歴史は物語なので、歴史解釈という点での大局観の構成力と、 ストーリーテラーとしての筆力次第ということなのかなと。 新井白石とか光厳天皇とか、目の付け所も面白かったです。 新井白石なんて、印象は教科書の「正徳の治」ぐらいしかなく、 理念重視で頭でっかち政策を実行したというイメージです。 何か新井白石の本って読んだことあったっけ?と本Blogを検索したら 藤沢周平さんが書いた本を読んでました。その本では、白石は有能な政治家として描かれており 永井評とは異なります。 この作家による歴史上の人物への評価の違いというのも、歴史の面白さですね。 人間というのは、本当に多面的なんだなと思います。 著者の小説は1冊しか読んだことがないので、 他の作品も読んでみたいと思います。 ![]()
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