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『マンボウの刺身』
- 2020/04/22(Wed) -
岩本隼 『マンボウの刺身』(文春文庫)、読了。

マスコミ出身の人が房総半島の先っちょで漁業と農業を営んでいるという著者プロフィールを見て、
もしかすると意識高い系の田舎暮らし通信かもしれないという懸念も持ちつつ買ってきたのですが、
予想と違って、ガッツリ漁師の生活の話で、非常に面白かったです。
偏見の目で見ててスミマセン m(_ _)m。

千葉の館山の「香(こうやつ)」という地域に住み込んだ著者が、
地元漁師の指導のもとで、様々な漁の経験を積んでいった経験が語られています。

いきなり脱サラ&移住して田舎暮らしをするのではなく、
最初は海水浴場に遊びに来た客として香の地域に接して、
その次は夏場の漁師手伝いとして季節労働者として関り、
それから移住してガッツリ漁業に取り組むというステップを踏んでいます。

その過程で、地元の漁師との信頼関係を築いて、
次第に指導してくれるお師匠さん筋の人が増えてきたんだろうなと想像できます。
その地元に溶け込んでいくプロセスを、あえて詳しく描いていないことが憎いです。
たぶん、移住者にとっては、そこが一番苦労するところであり、泣き言を言いたいところだろうから。
そこをあっさり描写で済ませて、あくまで香の地域の漁師たちがどんな生活を送っているのかを
さらっとした描写で描いていくところが、すごく格好良いなぁと思いました。

文章には書かれていない、移住者としての苦労がきっとあっただろうなと思うのですが、
そこは書かずに、あくまで漁師目線で日常を描いているとことが憎いです。
地元の方々との信頼関係が出来上がっているからこそのエッセイですね。

自分の好きな海で、思う存分、魚やエビカニ、イカタコ、貝類を獲って、
市場で売り、自分達も食べ、居酒屋でくいっと一杯。
最高の日々ですね。
羨ましい。

自分が思いっきり打ち込める仕事に
毎日精一杯取り組めるというのは、幸せな人生ですね。
自分もそうありたいと思う読後感でした。




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