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『神様のいない日本シリーズ』
- 2020/04/08(Wed) -
田中慎弥 『神様のいない日本シリーズ』(文春文庫)、読了。

芥川賞作家さんの本だなぁ・・・・あのグロテスクそうな作品で芥川賞を獲った人だなぁ・・・・・。
ということで、芥川賞受賞作品は読まず嫌いな感がありますが
とりあえず薄くて読みやすそうな本作から手に取ってみました。
なんだか野球も関係あるみたいだし。

冒頭始まったのは、父親の一人語り。
家族の夕餉の席で、息子がいじめを理由に野球部を辞めたいと言い出し、
席を立って自分の部屋に閉じこもってしまったので、その部屋の扉の前から
父親が息子に語り始めるというシーンです。

いきなり、いじめ問題で物語がスタートして、
しかもその原因が、祖父が「豚殺し」だったという展開から、
「同和問題絡みか!?」と緊張しましたが、「豚殺し」とは屠殺業の意味ではなく、
「暴力をふるって衝動的に豚を殺した」という意味で、今度はアウトローの話か?と
最初のとっかかりが上手くつかめませんでした。

で、父親が、そんな豚殺しの過去を持つ自分の父親(息子からすると祖父)の思い出話を
扉の前で訥々と語っていくことで、物語は進んでいきます。

前半は、結構気持ちを込めて読んでいけたんですよ。
豚殺しなんて暴力性をあまり感じないような少年の話だったのに、
貧乏や社会的立場という外的要因から、だんだんと「豚殺し」に辿り着きそうな気配が濃くなっていき、
「彼はいつ何をきっかけに道を外してしまうんだろう?」という思いに、
どんどんページを繰っていけました。

そして、それが、いじめを受けた息子にとって、
何らかの答えというか、原因が見えてくるようなことに繋がるんだろうなと期待していました。

ところが、物語が後半に差し掛かってくると、それまで父親は訥々と語っているような印象だったのですが、
段々と雄弁に能弁に自分の言葉に酔っているかのように語るようになっていき、
「おいおい、息子はどこいっちゃったんだよ?」という印象を抱いた瞬間に、作品と私の間に
大きな溝ができてしまいました。

父親が中3の時の文化祭の演劇の出し物の話や、その時の1986年の日本シリーズの展開を絡めて
父親自身と豚殺しの父との関係を描いていき、確かに上手い構成なんでしょうけれど、
私には、息子のいじめ問題が置き去りにされているような気がして、ハマりませんでした。
父親は、自分の子供時代の父親との関係を話すことで、いじめ問題への向き合い方を示そうとしているのは
分かるのですが、しかし小4の息子に対して、このアプローチの仕方はありなのか??と
いう思いがぬぐい切れませんでした。

ちょっと思考展開が私とは合わなそうな作家さんだなと感じました。




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