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『大誘拐』
- 2020/03/29(Sun) -
天藤真 『大誘拐』(創元推理文庫)、読了。

何かの書評で見つけて面白そうだったので買ってきたものの
ボリュームが結構あるので積読になってました。

やっと手を付けたら、誘拐が始まるまでに結構ページを要して、
「いつ始まるんだよ・・・・・」とちょっとイライラしてしまいましたが、
いざ誘拐!となったらスピーディに展開していって一気読みでした。

紀伊半島の山林地主である柳川家の女当主とし。
彼女を誘拐して金をせしめようと考えた犯人グループ3人は、
いざ誘拐して身代金の額を当主に漏らしたら、「そんなはした金は認めない!」と突っぱねられ、
本人が言い出した身代金の額はなんと100億円。
自分にはそれだけの価値があると言い切り、この断言を機に、犯人と人質の立ち場が逆転し、
次第に人質自身が誘拐事件の計画を立案し、犯人たちに実行させていきます。

由緒ある家柄の当主とはいえ、高齢のおばあちゃんに言いなりになってしまう犯人たちは
3人とも根が善人です。
犯罪者になろうとしてなったというよりは、やむを得ず犯罪に手を染めてしまったという描き方です。
つまりは、悪人として非常に半端な人材なのですが、
その分、おばあちゃんの言いなりになってしまうという役回りでも
なんとなく読んでいるこちらも受け入れしまうようなホノボノタイプです。

そして、他に登場してくる人物たちも、
女当主への過去の恩が積み重なっていたりして、盲目的に信奉しているので
どうにも判断力が歪んだり、変な決断を受け入れたりしています。
客観的に見るとありえないと思うのですが、
女当主の力強さと、紀伊半島の山の中という神聖さと闇が混じり合った特殊な環境とが
ミックスされて、この世界観が許せてしまうんですよね~。
結局、登場人物みんな善人というところが、ポイントなんだろうなと思います。

最後、どうやって100億円を手に入れるのだろうかという点については、
携帯電話やSNSがない時代だから成立した犯行かなという気がします。
今の時代なら、一般人がみんなドローンを飛ばして捜索しそうですし。

まあでも、40年も前に、こんなにポップな誘拐事件を描いたのは凄いなと思います。
古さを感じさせません。

犯人グループ3人のその後も、爽やかな終わり方で、読後感が良いです。




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