樋口恒雄 『玉置和郎の遺言』(飛鳥新社)、読了。
近所のおじさんにもらった本。
「玉置和郎って誰だろう???」という感じでしたが、自民党の国会議員さんでした。
地元が和歌山ということで、隣県の話だからおじさんは買ったのかな?というぐらい
接点が良く分からない本でした。
最後は総務庁長官をやったそうですが、全く知識なし。
亡くなったのが昭和62年ということで、私は8歳なので、まぁ記憶がないのは仕方ないとして
一般常識としての過去の政治家の名前という中に、この人の名前は認知していません。
というわけで、その業績は本作を読みながら知っていくことになりました。
第1章は、ガンに冒されながらも総務庁長官の任を受け、
人生最後の数か月を、中曽根総理の元で、いかに情熱的に活動したかが描かれており
「いくら秘書の贔屓目としても、この調子で、『うちの親分は凄いんだ!』が続いたら辛いな」と
思ってしまうほど、ヨイショ感が漂ってました。
が、第2章、肝心の仕事ぶりの紹介が始まり、
「この政治家は凄いな・・・・」と私が感じたのは、総務庁長官としての仕事ぶりよりも、
日韓関係について問題発言をした藤尾文部大臣の進退をどうするかという問題に直面し、
落としどころを見つけ、そこまでの段取りをつけ、関係者間の調整をしきった姿でした。
「これぞ自民党!」という感じの暗躍ぶりで、陰の権力者ですわ。
あと、藤尾文部大臣にしても、「韓国併合は合意の上、韓国側にも責任がある」という発言について
批判を受けても撤回せず、「自分の歴史認識はこの通りだから、それが文部大臣として問題だと
いうのであれば罷免しろ!」として、頑として辞任要求を受け入れず、
さらには、中曽根総理に対して公的な場で改めて自分の考えを述べ、その結果罷免されるという
なんとも肝の据わった政治家ですね。
まぁ、大臣の発言としては(しかも文部大臣だし・・・・)問題だと思いますけど、
簡単に発言を撤回する政治家が多い現代から見ると、変に羨ましかったりしますわ。
この事件以外にも、KDD事件とか、ロッキード・ニセ電話事件とかが紹介されていますが、
自殺者が残したメモを持っているかもと思わせたり、
ニセ電話を録音した音源を入手したり、
情報の力で党内だけでなく政治の場全体での権力を握る玉置和郎という政治家が
非常に興味深かったです。
総務庁長官としての業績も紹介されており、農協改革とか、外務省改革とか出てきますが、
総務庁長官として「ここにメスを入れるぞ!」という大号令の部分を描くのにとどまった感じで
政治家としての裏の権力の握り方の生臭い詳細描写に比べると、
政治の表舞台の話はあっさり少なめでした。
まぁ、病気のせいで半年しか長官職を務められなかったという事情はあるにしろ、
特に農協改革を描いた省に関しては、その後の改革がどうなったのか全く触れずに
さっさと話を閉じてしまっているので、5行でいいから結果を書いてよ!と思ってしまいました。
そのあたりを考えると、政治評論家ではなく、
政治家秘書が書いた本だなというのが納得できます。
オヤジのことが全て!という感じです。
- 関連記事
-