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『チア男子!!』
- 2020/01/10(Fri) -
朝井リョウ 『チア男子!!』(集英社文庫)、読了。

朝井リョウ作品って、若者の本音と建前の乖離を恐ろしいほどリアルに描いているところが
最大の魅力なんじゃないかと個人的には思っています。
そのため、本作でも、そういう視点での若者像分析を期待していたのですが、
いつまでたってもキラキラ青春物語だったので、「あれ?イメージと違う・・・・」と戸惑ってしまいました。

途中でチラッと、仲良しに見えるコンビが実は相手に不満や不安を覚えているという描写はありましたが
なんだか中途半端な感じで触れただけ・・・・という感じで、消化不良でした。
著者にとって2作目の作品だったということで、
まだ作風が確立してなかったということでしょうかね。

チアリーディングの世界については、あんまり男子女子を意識したことがなかったです。
たしかに、TVで見るスポーツでのチアリーディングは女性ばっかりですね。
でも、私の母校の一橋大学の応援部は、男女混成チームでチアリーディングをしていたので
男性がチアリーディングをすることに違和感を持っていませんでした。
チアリーディングの大会では、それほど男性が珍しい存在なんだと驚いた次第です。

本文に入る前に、チアリーディングの基本的な技や隊形についてイラスト解説があり、
「あぁ、応援部の人たち、こういうことしてたな」と懐かしく思いました。
その一方で、運動が苦手なデブ体形の人が、数か月の練習でバク転とかできるようになるのかな?と
疑問に思ってしまったもの事実。
私自身、バク転なんてできないし、挑戦しようと考えたこともないので、
できないというのは単なる決めつけなのかもしれませんが。
こんなにうまくいくのかなぁ・・・・と思いながら読んでました。

そして、最初のメンバー7人で臨んだ学園祭での初舞台。
自分の中では、ここがピークだったように思いました。
その後メンバーが増えて16人になりますが、
メンバーが増えた分、描写がワチャワチャしてて、個々のキャラがあんまり活かしきれて
いないように感じました。
文量も多いし、第1巻、第2巻に分けても良いような印象です。

スポーツものなんですが、朝井リョウ作品ということを考えると、
なんだかスッキリしない読書となってしまいました。




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