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『少しだけ無理をして生きる』
- 2020/01/09(Thu) -
城山三郎 『少しだけ無理をして生きる』(新潮文庫)、読了。

ブックオフの店頭で本作を見つけた時は、
タイトルがピンとこなかったのですが、これは読んでよかったです。

城山三郎氏が、まさに、人生において突き詰めようとしているエッセンスが
この本に詰まっていると思いました。

最初に目に止まった言葉は、小林秀雄が言ったという
「人は、その性格に合った事件にしか出会わない」というもの。
日本の産業界の基礎を作った渋沢栄一と、彰義隊を作ったもののその座を追われた渋沢喜作。
同じ村を出て、同じように尊王攘夷に心酔し、同じように一橋慶喜公に仕えたにも関わらず
異なる人生を歩んだ2人。
自分自身が、世の中をどう捉え、日々をどう過ごすかで、
こうも人生が違ってくるものかと実感できるエピソードです。

ここで紹介されている渋沢栄一の姿は、
かつて尊王攘夷思想を持っていたにもかかわらず、慶喜公の命でヨーロッパに視察に行き、
かの地で無心に貪欲に知識を得ようとする吸収欲の塊。
この後に登場する広田弘毅も同じように勉学の鬼だったようで、
私自身、新しい物事を知ることは大好きなので、著者の目線に共感できました。

本作で特に強く感じたのは、著者自身が、渋沢栄一広田弘毅、浜口雄幸の生き方に
強く共鳴しているというか、尊敬しているその眼差しです。
彼らを主人公にした小説を読みましたが、
これだけ情熱を注いで面白い小説を書くことができるのは、
ただただ、著者がその主人公に対して、熱烈な愛情を注いでるからなんだなと納得できました。

広田弘毅と吉田茂の関係性は何度読んでも面白いです。
どちらが正しいとか、どちらが成功したとかではなく、
どちらも自分の道をどこまでもずんずん進んでいっているとことが清々しいです。
こういう政治家がいる時代というのは、戦争の過ちはあったかもしれませんが、
日本人社会としての厚みがあったような気がします。




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