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『吾輩はシャーロック・ホームズである』
- 2019/12/24(Tue) -
柳広司 『吾輩はシャーロック・ホームズである』(角川文庫)、読了。

著者のイメージは、最近、D機関シリーズで固まってしまっていたので、
「夏目漱石がロンドン留学中に精神を崩して自らをシャーロック・ホームズと思い込んでしまった」
というハチャメチャな設定を知り、一瞬「えっ?」と思ってしまいましたが、
そういえば、最初に読んだ作品ではダーウィンが殺人事件の犯人探しをしていたと思い出し、
歴史上の人物に謎解きさせるのが得意な人だった!と納得。

本作では、自らをホームズだと思い込んでいる心神喪失の夏目漱石が参加した
交霊会での毒殺事件の謎解きが話の軸となっていますが、
正直私には、謎解き自体には興味を惹かれませんでした。

むしろ、夏目漱石がなぜ国費留学した先のロンドンで心神喪失状態になってしまったのか
その過程を描写したくだりに興味が向かいました。
近代化に向かったばかりの後進国・日本から世界最先端のロンドンに来て、
先進性の違いに愕然としたり、人種差別を受けたり、国費留学というプレッシャーに押し潰されたり、
それはもう、大変な2年間だったと思います。

心のバランスを崩して、自分をシャーロック・ホームズだと思い込んでしまうという設定は
最初は、単に話を面白くするために、殺人事件との絡みを作るためのものかなと思ってましたが、
後半で、その理由が述べられており、「あぁ、なるほどなぁ」と納得しました。
なぜホームズだったのかという点で、納得がいきました。

本作は、ホームズ作品を読んでいれば、もっと楽しめたと思うのですが、
実は一作もホームズ作品を読んだことのない私には
浅い読書となってしまったかもしれません。




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