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『ぼくは12歳』
- 2019/12/17(Tue) -
岡真史 『ぼくは12歳』(ちくま文庫)、読了。

ブックオフで目に止まり、「12歳の詩集かぁ・・・」ぐらいの感覚で買ってきたのですが、
なんと12歳で飛び降り自殺をした少年の死後に、詩作が見つかり、それをまとめたものだとか。

その情報で、一気に印象が変わりました。
というか、詩を読む前にその情報がインプットされてしまったので
もう、そういう目線でしか詩を読めなくなってしまいました。
「何が自死を選ぶ引き金になったんだろうか?」と。

私自身、詩の世界には親しくないので、
そもそも詩を読むスキルというか、詩を楽しむスキルが身に付いていないという自覚があります。
あと、感性だけで詩に向き合えないというか、
ついつい理屈で読もうとしてしまうので、詩がつまらないものになってしまいます。
著者のような「情緒豊か」と言われるような感性は、残念ながら持ちあわせておらず・・・・。

で、理屈っぽい私が、この本を通して何を考えていたかというと、
「自死」というものに対して、自分は嫌悪感というか拒絶感を持ってしまっているなということです。

私は、自分でも、頭が固いなと自覚しており、
特に「きちんと生活する」ということに、融通が利かないようなところがあります。
「毎日やるべきことをきちんとやる」「自分の役割をちゃんと果たす」「最後までやりきる」みたいな
いうなれば、予定通り計画をこなすことに価値を置いているようなところがあります。

そんな自分にとって、「自死を選ぶ」というのは、
なんとも反社会的というか、アナーキズムのようなものを感じてしまい、
嫌悪感や恐怖を覚えてしまいます。

特に、本作で終盤に納められていた、「著者の詩に思うところがあり両親にコンタクトしてきた人」の
手紙の文面を読んでいると、「深い悩みを抱えて大変だなぁ」という思いよりも、
「なんでこんなに『死』を真剣に考えているんだ?」と、恐れてしまいます。
皆が明日の幸せを信じて精一杯生きようとしている社会において
それに反抗する勢力であるかのように感じてしまい、不安を覚えます。

またこれで、「私って、なんて冷たい人間なんだろう・・・・」と
自己嫌悪にも陥ってしまいますが、でも、こういうことを考えている人が一定数を超えたら
その社会は、不健全な気がします。表現が間違っている気がしますが
良い言葉が見つかりません。不快にさせてしまったら申し訳ありません。

明日の幸せを信じてしまう自分の能天気さもお気楽なものですが、
自分が生きていることそのものに悩みを抱えてしまうという状態に対して、
想像を超える不安と恐ろしさを感じます。
こういう本を読むと、自分の心がザワザワしてしまうので、
いつまでたっても苦手意識が抜けないんだろうなと思いました。




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