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『その後の慶喜』
- 2019/12/13(Fri) -
家近良樹 『その後の慶喜』(ちくま文庫)、読了。

一橋大学出身の身としては、やはり気になる一橋家。
その中で最も有名なのが最後の将軍・慶喜であり、
新時代を迎えた名君とも弱腰の将軍とも評され、一般的な評価が定まらない人物だと思います。

徳川慶喜に関する書籍は何冊か読みました
一般的な歴史上の役割は、彼の若い頃に終わってしまっているわけで、
将軍の座から降りた後の長い余生においては、社会に変な影響を与えないことに心を砕き
静かに地味に趣味の世界に暮らします。
なんだか、政治的な影響力を持たないように地味な学問を専攻する天皇家を想起させます。

そんな静かで地味な生活の様子を綴っていくのですが、
正直、文章があまり面白くなくて、盛り上がりに欠けます。
もともと盛り上がりのない人物の生活を描写するのですから仕方がないところはありますが
そこは構成とかで上手く演出してほしかったです。

この徳川幕府の最後の将軍が、明治時代も超えて大正時代まで生きたという事実が
日本社会の西洋社会との違いを端的に表してるうように思えます。

他の社会だったら、革命的な統治者の交代が起きたら、前権力者は命を奪われるのではないでしょうか。
それが日本では、何十年も生き延び、幽閉されるわけでもなく、
自らを律して静かに生活するという本人の意思に委ねられるという寛容さ。
しかも、慶喜に至っては、大正天皇(当時皇太子)と親しく過ごし、
自分の娘が大正天皇のお后候補になるという、一歩間違えたら政治権力の場に再登場みたいな
ところにまで、(本人の意思とは関係なく)関わるようになっています。

このような生き方が許される社会なら、太平洋戦争敗戦後に昭和天皇がその地位を継続することを
日本人社会が受け入れるというのも、なんとなく分かります。
足利家の最後の将軍・義昭も幕府滅亡後に一大名として永らえてますし、
藤原氏も、五摂家として脈々と続いてますよね。
前政権の権力者を内に置いて治めていくという日本の権力構造は、冷静に考えると非常に不思議です。

この視点で、面白い本はないかなぁ?
社会科学的にめちゃ面白そうなテーマです。




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