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『総理』
- 2019/12/11(Wed) -
山口敬之 『総理』(幻冬舎文庫)、読了。

安倍政権ベッタリのジャーナリストとして批判されがちな著者ですが、
あまりにド直球なタイトルと表紙写真に、逆に著者の意気込みを感じます。

第一次安倍政権が総理の病気により途中で投げ出す形になり、
その後、再起をかけて足場固めをしてきた様子と、
第二次安倍政権が長期政権となった最大の理由である盤石の内閣布陣を中心に
著者ならではの取材対象との距離感で描いていきます。

最初、著者の存在感があまりにも濃厚な描写の仕方に面食らいましたが、
ルポライターとは違うスタンスで、安倍政権というものを主観的に当事者的に描こうとしてるんだなと
割り切って読めば、大変面白い現場レポートでした。

特に、著者と安倍総理、麻生副総理、菅官房長官との空間や時間の共有の仕方から
太い信頼関係が構築されている様が見て取れます。
一方で、あまりにも一人のジャーナリスト(しかも当時はTBS社員)と
濃厚な接点を持ちすぎているようにも感じられ、そりゃ安倍の提灯持ちと皮肉られるわなぁと納得。

ナベツネさんって、こんな感じだったのかな?と思いながら読んでましたが、
それとも、各社のエース級の記者というのは、これぐらい時の政権の主要メンバーに
食い込んでるものなんですかね。

アベノミクスと消費税増税のタイミングとか、オバマ政権との向き合い方とか
興味深いテーマが深掘りされていて、特に、最終判断を誰がどのように行ったかが描かれており
なんだか冒険小説を読んでいるかのようなワクワク感さえ感じてしまいました。

一方で、まだ安倍政権が続いている現時点で、こんな内幕暴露の本を書いてしまって大丈夫なの?
という疑問というか不安が最後まで拭えませんでした。
現政権のことを、これほどまでに赤裸々に肯定的に描くからこそ提灯記者だと言われてしまうのでしょうが、
それ以上に、深掘りして書かれてるテーマが、現在進行形のものが多く、
安倍総理をはじめとする主要閣僚の判断軸とか悩んだポイントとかを具体的に書いてしまって
今後の政権運営や外交に支障を来さないのかしらと危ぶんでしまいました。

例えば消費税増税ですが、本書が出版された段階では、この10月の増税について
方針は示されていたものの直前まで増税延期の噂もあがっていた状況で、
前回の増税における安倍総理の判断や苦悩を描いてしまったら、次の増税の判断に支障がありそうな
気がしてしまいます。

まぁ、安倍政権の政策遂行を後押ししたいというような著者の思いがあっての著作なのかもしれませんね。
ますますナベツネっぽいぞ(笑)。

著者の自慢臭が非常に匂ってくる文章ではありますが、
それを乗り越えられれば、非常に面白い本でした。




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