『史上最強の大臣』
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- 2019/11/27(Wed) -
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室積光 『史上最強の大臣』(小学館文庫)、読了。
シリーズ第2弾。 第1弾は麻生内閣を皮肉ったものでしたが、 今回は、民主党ならぬ民権党の鷹山内閣から話はスタート。 政権交代したものの、「本物の内閣」と認識されてしまった二条内閣のせいで 民権党への国民の期待度は低く、何をやっても信頼されません。 そんな国政状態の中で、今回は、大阪府知事の町本知事が、二条内閣に 大阪府の教育立て直しを依頼し、地方行政への手助けなら・・・・と 二条内閣の新門文科大臣が教育改革に取り組むことに。 人間をつくる教育を始めるために、異端児を教師に採用していきます。 本作では、この教育改革における著者の教育論の展開と、 現実の民主党政権の不甲斐なさに対する毒の効いた批判との2つが軸になっています。 それぞれが面白いのですが、それぞれ中途半端なところもあり、 面白い提案だけれども、ややリアリティに欠けるかなぁという感じも。 ただ、その心意気や良し!っていう印象です。 教育改革は、まぁ、本作で描かれるほど簡単に改善はしていかないでしょうが、 こういう気概を持った教師や教育行政の関係者が増えることを切に願います。 政治家は、選挙で落選したり、地方から国政に鞍替えしたりで その政策が途中で途切れてしまうのが残念ですよね。 町本知事のモデルとなった某氏も、いろんな改革案は面白いと思って注目してたのですが、 結局、政治家ではなくなっちゃいましたしね。 教育のような時間が書かる案件は、特に成功に導くのが難しいですね。 一方の、現実社会の政治批判、マスコミ批判については、 「その通り!」と思うところが多く、小説としては面白いけど、日本の政治の現状を思うと 悲しいことですね。 管良内人(くだらないと)首相を揶揄するくだりとか爆笑。 市民政治家あがりは「市民の意見は正義」として動かなきゃいけないから手足を縛られるとか 本質突いた指摘も多く、勉強になりました。 2013年発行の作品で、マスコミについても「印象操作」というような今のワードで既に斬っていて なかなかに時代を先取りしているとも思いました。 個人的には、第1弾より、地に足ついたところがあって 第2弾の本作の方が面白かったです。 室積作品には、今後もぜひ、日本の政治シーンについて どんどんネタにしてほしいものです。 ![]()
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