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『ひらいて』
- 2019/11/22(Fri) -
綿矢りさ 『ひらいて』(新潮文庫)、読了。

私の「読みたい本リスト」にあったので、ブックオフで見つけて買ってきたのですが、
うーん、全然刺さらなかったです。
何かの書評で高評価されていたのを読んで、「読みたい本リスト」に入れたはずなのですが。

モテると自覚している女子高生の愛が好きなのは、地味な男子。
しかし、その地味な男子の彼女は、学年内で触れないように距離を置かれている病気持ちの女の子。
愛の感情が暴走して、この3人の人間関係を濃密に動かしていくというお話なのですが、
私には、愛の暴走は暴走でしかなく、共感どころか理解できませんでした。

著者の描く洞察力の鋭い女の子は、私の好みのキャラクターなのですが、
本作の主人公・愛は、洞察力が鋭いのに、行動が暴走してて、どうにも共感できず。
この洞察力があるのに、先々の展開が読めずに暴走してしまうのは、
自分への過剰な自信があるからでしょうかね。
綿矢作品では、主人公に共感できなかったら、その作品はアウトです。

あと、本作にはいろんな要素がキャラクター設定の中に詰め込まれているのですが、
それがどれも消化不良な感じでモヤモヤしました。
主人公・愛の聖書を読むという習慣、
地味な男子の家庭における父親との関係、
糖尿病を持病に抱え毎食事前にインシュリン注射をする女の子、
どれも単発的なシーンで人目を引くために使われただけで、
あまり物語全体に効果的な寄与をしていかなったように感じました。

なんとも座りの悪い小説でした。




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