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『Y』
- 2019/10/30(Wed) -
佐藤正午 『Y』(ハルキ文庫)、読了。

ずーっと積読になっていた本作を手に取りました。
著者の作品はなんと10年ぶりです。

物語は、主人公のもとに「高校の時の親友」を名乗る男から電話がかかってくるところから始まります。
主人公は、男の名前を聞いても思い出せないような状況で、
「宗教の勧誘か?」と思ってしまう始末。
電話口で、その男はあれこれ話しますが、何とも要領を得ない話で・・・・・。

最初に感じたのは、「佐藤正午って、こんなに読みにくい文章だったっけ?」ということ(苦笑)。
ものすごく、持って回った言い方をして、読んでいてイライラしてしまいます。
そして、本文だけでなく、会話文もそんな感じなので、
「こんな話し方する人間いないよ!」と思ってしまいました。

まぁ、前に読んだ本の感想でも、文章が読みにくいと書いていたので、
そういうこともあって、間が10年も空いてしまったのでしょうね。

肝心の話の方ですが、タイムスリップもので、
大きな電車の事故に巻き込まれた人々の間の関係を軸に描いているのですが、
タイムスリップできる能力で電車事故の直前に戻って、
自分の知っている人たちを事故に巻き込まれないように電車から降ろしたい!と奮闘・・・・。
って、なんで、事故そのものが起きないようにしようという方向に考えないのか
理解できませんでした。

自分の知り合いだけ助かったら良いなんて、
その後毎年慰霊式典に出て、遺族や被害者同士で悲しみを共有してきたのなら
そんな考え方は芽生えないと思うのですが。

持って回った会話も自分勝手なら、
行動の志向も自分勝手で、共感できる人物が1人も登場してこないので、
最後は読み飛ばす形になってしまいました。

佐藤正午作品は、これにて終了かな。




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