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『無縁社会からの脱出』
- 2019/09/29(Sun) -
西村京太郎 『無縁社会からの脱出』(角川文庫)、読了。

「無縁社会」という言葉が目に留まる作品です。

東京の河原にある空き家に侵入して暮らしていたホームレスの遺体が見つかり、
殺人事件として捜査が始まります。

東北の寒村から出てきて、就いた職も途中で失い、
自ら周囲の人との関係を断って、孤独な日々へと沈んでいく。
「無縁社会」ができていく様子が分かり、興味深かったです。

本作では、こういう孤独な老人の存在を、個々の老人の問題としてしまうのではなく、
若い世代の人にも、将来の不安として存在しているのだということを描いていて、
私自身の問題でもあるということを突き付けてくるので、恐怖を感じました。

少子高齢化の、高齢化の方も問題であるだけでなく、
少子化ということは兄弟がなく、結婚も養子も選択しなければ
いずれ一人になる時が来るという社会なんだなと。
なかなか考えさせてくれる作品でした。

ただ、殺人事件を解決するミステリ作品としては非常に物足りないです。
死んだホームレスはなぜ1千万円以上もの預金を持っていたのか、
なぜ女子中学生がホームレスの身の回りの世話をしていたのか
宝くじの当選くじを盗まれたと主張していた男は警察の裁定に納得していたのか
どれも一応文章中で表現がされていますが、表面的なもので終わってしまい
説得力がありません。

犯人についても、そんな理由で殺すか?、そんな方法で目撃者を始末しようとするか?と
こちらも非常に杜撰なストーリー設計に思えました。

これだけ多作な作家さんだと、1つ1つの作品にそこまで求めるのは
酷なのでかねぇ。




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