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『イオンが仕掛ける流通大再編』
- 2019/09/06(Fri) -
鈴木孝之 『イオンが仕掛ける流通大再編』(日本実業出版社)、読了。

三重県が生んだ超絶小売業のイオン。
いまだに地元では、愛情込めてイオンのことを「ジャスコ」と呼んでいます。

買収に次ぐ買収で、あまりに急激に大きくなりすぎて
一体どうなっちゃってるのか良くわからなくなっているので、
頭の整理のために本作を読んでみました。

小売りを中心に置きながら、金融業、薬局事業など多角展開しており
その事業構想を解説していきます。
1つ1つの事業をあまり深追いすることなくサラッと簡潔にまとめているので
概要はつかみやすいです。

ただ、第2章でセブン&アイグループの話になっていき、
「あれ?イオンの話はこれで終わり!?」と思ってしまいました。
その後もウォルマートの話などにページを割いており、
イオンの話というよりも、日本の小売業の推移をイオンを軸にして描ているという感じです。

業界の全体像を把握するには分かりやすいですが、
個人的には、イオンのことをしっかりと理解したかったので、
かなり物足りない印象です。

著者は西友出身ということなので、まぁ、自分の里のことも踏まえて業界全体を描きたかったんだろうなぁと
思いはわかりました。

それにしても、イオンの強さは凄いですね。
イオングループという一大勢力を築き、ダイエーのような、かつてのガリバー企業をも参加に納め、
買収で店舗を一気に増やしつつも、自らイオンモールのような施設にも積極投資しています。
昨年、三重県に「イオンモール津南店」という東海圏最大級のお店ができて、
店舗周辺の国道は大渋滞が巻き起こってます。

周辺地域の人だけじゃなく、高速で1時間以上かかるような遠隔地に住んでいる県民でさえ
「でっかいイオンができたんだって!」と楽しそうに買い物に行ってます。
そして、「大きかった!きれいだった!都会のお店が入ってた!」と楽しみながらも、

最後は「でも、イオンはイオンだった」という結論で終わります。
どれだけデカくなってもイオンはイオン。
新鮮味には欠けながらも、きっと安心感の方が勝ってるんでしょうね。
「とりあえず不安なくお買い物で休日一日楽しめるお店」ということで。

イオンさんとお仕事をさせていただく機会もあるのですが、
いつも思うのは、怖さと優しさが同居している油断のならなさです。
複数人のイオンの社員さんと会うと、細かい心配りをする役目の人と、
ビジネスマンとして厳しく品質チェックする人と、しっかり役割分担されているように感じます。
そして、ビジネス面で厳しい判断を見せる人でも、仕事の場からちょっと離れたときには
非常に人間的な優しい面を見せてくれて、その多面性に驚くことがあります。

その場面ごと、瞬間ごとに、自分の役割をきちっと判断し、
締めるべきところは締め、寄り添うべきところでは寄り添う、その身のこなしが
骨身に付いている感じがします。

超巨大企業だから、特に、そういう能力に優れた人が抜擢されて、
目につくポジションに据えられているのだと思いますが
面白い企業だなと思います。

そのイオンの人材の部分にスポットを当てた本を読んでみたいですね。




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