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『全国アホ・バカ分布考』
- 2019/08/20(Tue) -
松本修 『全国アホ・バカ分布考』(新潮文庫)、読了。

ブックオフで見つけて、そのタイトルに惹かれたものの、
結構分厚い本で、ちょっと購入を躊躇いました。
しかし、裏表紙を見ると『探偵!ナイトスクープ』の企画とのことで、
それなら面白く読めるだろうと思って買ってみました。

冒頭、そもそも番組の立ち上げの経緯から始まり、
肝心の「アホとバカの境界はどこ?」という質問に対するロケの様子も
意外とあっさりと綴られていきます。

「え!?こんなレベルの調査で、どうやったらこのボリュームの本になるの?」
と懐疑的になってしまいましたが、この第1回目のアホ・バカ調査ロケの最中に、
名古屋で「タワケ」という言葉が登場してきたという変化球には興味を覚えました。
さらに、九州ではバカというという話がスタジオで登場。
西のアホと東のバカという簡単な区分ではないことも分かり、
この問題にどうやって番組が挑戦していくのか、読み進めてみました。

まず、人気番組ということで、番組を見た全国各地の出身者が、
自分の生まれた地域での「アホ」「バカ」に当たる言葉を手紙で情報提供してきます。
このお手紙が、皆さん郷土愛に溢れてて良かったです。
視聴者参加型番組なんだということも良く分かりました。

そして、これらの情報から番組の構成会議を開いたところ、
ディレクターから、「蝸牛考や!」と、柳田国男の方言周圏論が飛び出してきます。
そう、昔のテレビマンって、インテリが多いんですよね。
旧帝大卒や早慶卒とか。
著者も京大法学部出身のようですし。
そういう知性の土台がある人たちが作るバラエティって、やっぱり奥行きがあるというか
土台がしっかりしているので、くだらないことやってても、本質の部分では興味深いですよね。

今回の、「アホ・バカ」分布調査も、著者のインテリ熱に火がついて、
調査に没頭した感じが伝わってきて、番組を超えて、すごい熱意だなと圧倒されました。
全国の教育委員会宛にアンケートを送るという調査が基本になっていますが、
その間に、方言に関する様々な専門書を読んで、自分なりの仮説を立てたり、
方言業界で定説とされている考え方に疑問をもったり、素晴らしい批判能力だと思います。

書面郵送による調査と、番組視聴者からの自主的な情報提供を軸に
「アホ・バカ」分布図を作成していきますが、SNSが発達した現在、同じ取り組みをするなら
アプローチ方法が大きく変わってきそうで、そういう想像をするのも面白かったです。
Twitterでつぶやかれているワードを拾ってきて、ビッグデータとして処理したり。
ただ、Twitterだと、年齢の偏りが出ちゃうかな。
あと、口語とTwitterの書き言葉は、また違いそうですね。

あとがきで、「アホ」「バカ」という単語だけでなく、
アクセントも方言周圏論が適用できると仮説をのべています。
平安時代をイメージするとき、たおやかな京言葉でしゃべっているように思ってしまいますが、
実は東京弁みたいなアクセントだったという可能性もあるんですかね?
ここは感覚的に腑に落ちない部分がありました。

本作は、ひとつの方言研究の本として、非常に魅力的なものでしたが、
一方で、番組の方は、バラエティとして面白く味付けして完成しているでしょうから、
そちらも見てみたいなと思いました。




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