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『空からきた魚』
- 2019/05/24(Fri) -
アーサー・ビナード 『空からきた魚』(集英社文庫)、読了。

講談社エッセイ賞を受賞したという著者の『日本語ぽこりぽこり』が
「読みたい本リスト」にずーっとあるのですが、いまだに出会えず。
別の作品がブックオフにあったので、買ってみました。

日常のエッセイだけでなく、著者の半生を振り返ってみるようなものも多く、
著者という人物が出来上がった過程を見るようで面白かったです。

日本語で詩作をしたり、絵本を描いたり、エッセイを書いたりするアメリカ人ということで
ご本人の才能があるのがもちろんなのですが、
日本語を学びに単身でやってきて、たまたま翻訳業に関わった関係で、
そのまま住み着いたという流れや、その前はミラノに留学してイタリア語の勉強をしていた
というような話を読むと、「日本って、こんな良く分からない外国人を食べさせていけるんだから、
経済的に豊かだし、そもそも懐が深いんだなぁ」と変なところで感心してしまいました。

読んで受けた印象からすると、来日時は日本で就職するという思いは薄かったと思うんですよね。
ただ単に、日本語に興味を持って、学びたかったという風に受け止めたので。
そこから、日本語学校の先生の導きのまま、翻訳業に入っていき、
そして日本語で作品を書いていく文筆業で生計を立てられるようになるという。

昨年の入管法改正の議論の時はメチャメチャ反論も出て議論が盛り上がっていたように思いましたが
成立した今や、静かですよね。私が知らないだけ?
日本人って、結構柔軟に、来日外国人という存在を受け入れているように思えます。
日本人と線は引いていますが、露骨に排除する空気は薄いんじゃないかなあと。

著者は、「外タレ枠」に自分が入れられてしまうことを困っているようですが、
それで食べていける部分もあるでしょうし、上手く利用すればいいのに・・・・と感じてしまいました。
まぁ、外タレ活動ばっかりになって、本業の日本語作品が生まれにくくなると問題ですが。

著者の日本語は、大人になってから意識して勉強して身に付けた日本語であるためか、
もちろん言語で仕事をしている人としての感性やこだわり、努力もあって、
今の日本人が書く日本語や話す日本語とは微妙に違っていて、
「あぁ、そんな表現の仕方もあるのか」と気づかされるものが多く、新鮮でした。

文章の合間に挟まれる俳句や短歌も素敵でした。

タイトルの意味は、読む前から気になってましたが、
この意味を説明したくだりは、正直、私にはあまり刺さってきませんでした。
ちょっと頭でっかちな印象でした。

でも、全編にわたって爽やかな日本語で表現されており、面白かったです。





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