FC2ブログ
『ストーリー・セラー』
- 2019/04/13(Sat) -
有川浩 『ストーリー・セラー』(幻冬舎文庫)、読了。

小説家である妻が病気になった。
脳を思考で使えば使うほど寿命な縮まるという奇妙な病気。
それは妻に絶筆を迫る病気だった・・・・。

裏表紙のあらすじからは闘病モノのように思えたのですが、
正直、このあらすじは本作の本質を捉えていないような気がしました。

会社員時代に出会った妻は、実は小説家だった。
誰も知らないその副業に、夫となる男だけが気づいた。
小説を読むことが好きな夫と、小説を書くことが好きな妻の物語。
私的には、要約するならこうなります。
病気の話ではなく、小説という存在をめぐる話だと思います。

そもそも話の前半は、二人が出会った頃が中心に書かれ、
後半で病気の話になっていきますが、
私が心を寄せたのは前半部分でした。
本読みさんなら、「そうそうそう!」と共感してしまうポイントが盛りだくさん。
小説読みの男の言動に簡単に自分を重ねることができて、楽しかったです。
まぁ、私は、ここまで特定の作家に入れあげているということはないですが。

後半も、闘病というよりは、病というきっかけを得て、
夫婦の間での「小説書き」「小説読み」というものを見つめ直す作業が行われたというところが
私にとっては大事な部分で、正直、病気の部分については
「そんな病気、あるかよ~(苦笑)」ぐらいの、雑な扱いでした(苦笑)。
まあ、小説というものの特殊性を表現するための舞台装置に過ぎないかな。

書く人と読む人がセットになった夫婦って、本作では理想の夫婦のように描かれてましたが、
現実世界においては、そんなキレイごとにはならないだろうな・・・・と思ってしまったり。
どの作品も満点をつける読者って、居ないんじゃないかなと思ってしまうので、
そこはちょっとリアリティがなかったかな。
まあ、これは作家さんの願望世界なのかもしれませんね。

Side-Aでは、妻の両親がいかんともしがたいダメな人物で、
ここまで極端な設定にする意味ってあったのかな?と思わずにはいられませんでしたが、
夫の優しさや強さを引き出すためには必要だったのかな。

本作は、本読みとしての共感度は高かったですが、
小説の構成としては、ちょっと歪なものを感じてしまいました。

Side-Bは、似たような夫婦関係で、別の物語が走りますが、
こちらは夫が病に倒れるという展開。
Side-Aに比べると、作家視点で描かれているので、本読み共感度は下がりましたが、
これまた素敵な夫で、有川さんの理想の夫像ということなのでしょうかね。




にほんブログ村 本ブログへ

関連記事
この記事のURL |  有川浩 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
<<『僕に働く意味を教えてくれた29通の手紙』 | メイン | 『不肖宮嶋 南極観測隊ニ同行ス』>>
コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する


▲ top
トラックバック
トラックバックURL
→http://seagullgroup.blog18.fc2.com/tb.php/5865-c4254661
| メイン |