『夢見る黄金地球儀』
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- 2019/04/07(Sun) -
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海堂尊 『夢見る黄金地球儀』(創元推理文庫)、読了。
バチスタシリーズとは違う作品を読むのは初めてです。 実家の町工場の跡継ぎは、もともとは物理学者になる夢を持っていた男。 それが途中で挫折し、家を継いだら技術者としての父親の壁も超えられず、 営業マンとしての力も中途半端な状態。 そんな男の前に、8年ぶりに悪友が現れ、「ふるさと創生1億円」で作られた黄金の地球儀を 盗み出してしまおうともちかけられた・・・・・ 舞台設定はすごく面白いと思いました。 自身には物理の知恵があり、また自宅の工場には様々な工作機械(しかもユニークな)があり、 悪友は常識にとらわれない剽軽なヤツで、そんな面々で立ち向かう相手が 「ふるさと創生1億円」という(笑)。 竹下政権の時は、私は小学生でしたが、 我が町では、1億円を使ってからくり時計を製作し、私の通学路でもある市役所前広場に ドーンと鎮座しており、時間が来るとチリンチリン音楽が鳴ってました。 「すごーい!」と思ったのは最初の1週間ぐらいで、その後は、ただの時計としか思えませんでした。 今も建ってますが、動いているのかしら? まぁ、そいう過去の遺物をテーマにするのですから、 行政側の思惑も重なって、出だしは面白かったんですよね。 でも、肝心の盗み出しの場面になると、 なんとも緊張感がないのが気になってしまいました。 ドタバタコメディとして笑わせるにしても、ボケの部分以外に緊張感があるからこそ 緩急がついて笑えると思うんですよね。 バチスタシリーズには、緩急が上手くついていたと思うのに、本作は残念でした。 アイという人物に、プロフェッショナルさが全く感じられなかったのがその原因かな。 遊びで参加するにしても、目標に対して自分の役割を心構えるプロフェッショナルさが やっぱり必要だと思います。 それがないと、小説として締まらないなぁ。 ![]()
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