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『アンダンテ・モッツァレラ・チーズ』
- 2019/03/29(Fri) -
藤谷治 『アンダンテ・モッツァレラ・チーズ』(小学館文庫)、読了。

何かの書評で読んで、読みたい本リストに入れていた本作。
見つけたので挑戦。

・・・・・う~ん、なんで読みたいと思ったのか良く分からない小説でした。

とある医療系情報会社に勤める人々のお話。
医療系というと知的レベルが高そうですが、
この会社は、医師等から指示された医療専門誌や学術誌の当該ページをコピーし
依頼人に提供するという、完全に事務処理の会社です。
しかも、毎日図書館に通ってコピーするという勤務体系はむしろ肉体系。
そのため、努めている社員たちは人生負け組的な雰囲気の人たちばかり。

個性的ですが、みなさん明るく楽しく毎日を過ごそうと前向きなので
そこは読んでいて楽しかったです。
タイトルの「アンダンテ・モッツァレラ・チーズ」の由来も、いかに日々を明るく生きるかという
人生哲学のような感じで描かれていて、そこは共感できました。

ただ、「アンダンテ・モッツァレラ・チーズ」で表現される楽しさは、
文章で表現するのは難しいですよね。
自分の人生において、こういうバカバカしい楽しさを居合わせた人たちと共有した記憶はありますが
じゃあ、何が楽しかったのか説明してみろと言われると困ります。
喜怒哀楽の中で、「楽」って一番説明しにくい感情のような気がします。
そこに果敢に挑戦している姿勢は素晴らしいと思いますが、
正直、技術が追い付いていないように感じました。

独特な語り口調で物語が進むのですが、それが読みづらいです。
登場人物たちの生活感に合わせた口調なのかもしれませんが、
うわ滑ってるような感じです。
登場人物たちの会話のユーモアは面白いと思いましたが、
語りの部分まで持ち込まれると、ちょっと鬱陶しいです。

あと、一人称で語られているのに、その人物は物語に出てこないというのは、
演出なんでしょうけど、それが活きているようには思えませんでした。

赤ちゃんなのにベラベラ大人の言葉をしゃべる子供とか、
特異な設定もあまり活きてなかったです。

エンディングは、随分と時事ネタが入ってきて、無理やり結末をつけた感じです。
急に主人公が政治について語り出したのもアンバランスな印象。

キャラクターたちやその間で交わされる会話は魅力的だったのに、
全体的に著者が「工夫」と思っていることが、うわ滑ってる感じの作品でした。




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