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『チヨ子』
- 2019/03/17(Sun) -
宮部みゆき 『チヨ子』(光文社文庫)、読了。

久々の宮部作品。
ちょっとホラーな味付けの短編集です。
人間の嫌な部分やグロい部分を描いていて、濃厚な作品でした。

「雪娘」は、久々に集まった小学校の同級生のグループ。
5人が集まったが、本当は仲良し6人組。
1人欠けてしまったのは、小学校6年生の時に殺されてしまったから。
プチ同窓会の夜に、赤い長靴をはいた女の子を見かけて・・・・・。
殺人事件の真相そのものよりも、5人の同級生の間で過去を振り返る描写が
それぞれの人生も反映されて、なんとも濃い空気が流れて読みごたえがありました。

「オモチャ」は、たまたま引っ越した先に住んでいた親戚の叔父さんとの話ですが、
こちらは殺人事件の噂絡みの幽霊騒動。
幽霊騒動自体のインパクトが弱かったのと、
親戚付き合いがあまりに薄い設定だったので、田舎者の私としてはあまり共感できず。

表題作「チヨ子」は、その和風なタイトルに似合わず、スーパーでの着ぐるみバイトの話。
着ぐるみの中から外の世界を眺めると、それぞれの人の思いでのオモチャが見える・・・。
ひとつ前の「オモチャ」から何か繋がっているのかと思ってしまいましたが、
そうではなく、着ぐるみからの連想だったようです。
正直、表題作にするような話かな?という感想でした。

「いしまくら」は、一番面白く読みました。
近所で起こった女子高校生殺人事件の後、殺された女子高生を誹謗中傷する噂が広まり、
その不名誉を払拭しようと夏休みの自由研究として事件の真相を探し始める少女。
自由研究とか、彼氏に頼まれて真相究明しようと思ったとか
設定にはちょっと違和感を覚えましたが、
世の中の人が広める噂の性質についての分析が興味深かったです。

「聖痕」は、一番重たくて、タチの悪い話でした。
家庭内で母親とその内縁の夫からネグレクトを超える酷い扱いを受け、
積もり積もった恨みから、殺人を犯してしまいます。
服役後、実の父親に引き取られ社会復帰を目指しますが、
そこに現れたのは、彼を神格化するホームページに集まる人々・・・・・。
これは気持ち悪い話でした。
ネットで発言する者の無責任さや、統制の効かない流れができてしまってからの暴走ぶりは
興味深く読みましたが、しかし、怖さでいっぱいでした。
最も後味の悪い作品で、この短編集は閉じられました。




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