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『七十歳死亡法案、可決』
- 2019/02/19(Tue) -
垣谷美雨 『七十歳死亡法案、可決』(幻冬舎文庫)、読了。

垣谷作品、3つ目ですが、どうも老人問題を扱った作品は相性が悪いようです。

本作は、どん詰まりの財政状況を劇的に改善しようと、
70歳を迎えたら安楽死させるという法案を政権が通過させたことで
とある家庭に巻き起こったドタバタ劇を作品にしたもの。

物語がスタートする時点で、すでに法案は成立しており、
あと2年で施行されるという状況です。
なんだか、法案の荒々しさの割には、すでに日本国民が法案の内容を受け入れているかのような
危機感のない日常生活が描かれていきます。

一応、法案反対派が市民団体を作ったりという話は出てきますが、
法案成立後に今更???的な感じで、リアリティがないです。
そして、国外脱出とかの動きも描かれないし、何この従順な日本人?って感じです。

肝心の宝田一家ですが、70歳死亡法案を前にして、
すでに70歳オーバーで寝たきりの義母と、それを介護する嫁とのやり取りが
あまりにのほほんと日常的で、なんだか拍子抜け。
あと2年の命と宣告されたら、もっと取り乱すんじゃないかと思うんですけど。

そして、本作で描かれている家族内のゴタゴタというのが、
介護を嫁が全て負担するとか、夫が介護を手伝わないとか、
息子が引き籠りだとか、娘が家を出ていったとか、
70歳死亡法案がなくてもいずれ爆発しそうなレベルの問題で、
強烈な舞台設定を使った割には、問題提起が卑近という残念さ。

何より読んでいてつらかったのは、
どこにも共感できる登場人物が出てこないというところ。
みんな自分本位、文句ばかり言ってて、状況を改善しようという能動的な動きがゼロ。
老人問題がテーマになると、こんなにも閉塞感を覚えないといけない展開になるのでしょうかね。




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