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『人形館の殺人』
- 2019/01/07(Mon) -
綾辻行人 『人形館の殺人』(講談社文庫)、読了。

久々の館シリーズですが、
なかなか事件が起きないのでモヤモヤしながら読みました。

主人公は、芸術家だった父の莫大な遺産を継いだ息子。
自身も売れない画家で、長期療養していたという過去もあり
遺産で食べていく日常。何もしないような日々。
父は自殺、母は早くに事故死、生活を見てくれるのは母の妹。
叔母と二人、京都にある古い邸宅に引越すも、
その館にはのっぺらぼうなマネキンが多数設置されていて・・・・・。

不気味さは十分感じられる作品でした。
人の情念、怨念のようなものが漂っていて。
しかし、そんな雰囲気描写が続くばかりで、事件がなかなか起きません。

主人公のアトリエの人形にいたずらがされていたり、
郵便受けにいたずらがされていたり、
いわゆる館シリーズに読者が期待する事件の大きさに比べて
あまりに小さい規模の出来事が重なるばかり。

一方で、小学校低学年の児童を狙った連続殺人事件が起きますが、
こちらの描写はものすごく淡々としていて、
「これは本題じゃなさそうだな・・・・」と感じてしまうと、
読んでいても興味を失ってしまいました。

そして、中盤で、人形館で人が死ぬという事態が起きますが、
これも思ったほどの騒ぎにはならず、
結構、淡々と描かれています。
「あれ!?これだけ?」という感じで拍子抜け。

結局、コトの真相を知ってしまうと、
この淡々さの意味は納得できましたが、
それが小説の面白さに繋がったかというと、そこは頷けませんでした。

そして、終盤に感じていてた
「この人、こんな短絡的な思考回路と行動原理の人だっけ!?」と違和感を覚えてた部分も
真相を知らされて、「あぁ、そういうことか」と納得。
でも面白くない!

シリーズものの中で変化球が必要になってくるのは分かりますが、
この味付けは、作品として面白みが薄かったと思いました。




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