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『菊次郎とさき』
- 2018/09/24(Mon) -
ビートたけし 『菊次郎とさき』(新潮文庫)、読了。

ビートたけしさんが語る自分の両親のお話。

毒舌で、自分は米問屋のお嬢様だったというプライドがあり、
なのに旦那は飲んだくれの冴えないペンキ屋で、
そのギャップからくるストレスなのか、子供の教育に血道をあげます。

頭の回転は良さそうな人なのに、
価値観の軸がちょっとずつ極端な方に触れていて、
なんだかお茶目な人に仕上がっています。
息子からすると大変かもしれませんが(苦笑)。

そんな母親を描くのに、著者は、軽井沢の病院に入院中の母親を見舞うという場面設定を作り、
電車の中での母との思い出を回想するシーンと、
電車内で現在の母への思いを巡らせるシーンとを上手く組み合わせており、
この構成の熟練さが、映画監督としての著者の力量なのかなと思いました。

母さきのキャラクターがとにかく面白いです。
自分はお嬢様だったという思いから、冴えないペンキ屋の旦那を見下し、
子供の教育は全て自分の力で何とかしてやろうという熱心さ。
毒舌で子供の尻を叩きながら、裏では担任の先生を家に呼びご飯を食べさせてやるという
なんとも極端な作戦を同時並行で進めていきます。

複雑な人間性が1人の体の中に納まっているのに、
「こんな人もいるのかもしれない」と思わせてしまうのは
著者の表現力と母への愛情のなせる業のように感じました。

一方、ダメ親父の菊次郎ですが、
飲酒にパチンコと、分かりやすいダメ親父ぶりをさらしながらも、
家族みんなを家業のペンキ屋の手伝いに駆り出していたり、
意外と家の中心になっているようなところもあり、
こちらももまた不思議な人物です。
照れ屋で小心者の昭和の下町男って感じですかね。

ビートたけしという時代を作った才能の塊が
どういう風に生まれてきたのかという謎に、
この本は、「あぁ、この家族ならビートたけしを生み出してしまいそう」と思わせる
説得力のある内容でした。


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ビートたけし

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