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『若さに贈る』
- 2018/08/13(Mon) -
松下幸之助 『若さに贈る』(PHPビジネス新書)、読了。

新書をドカ買いしてきた中の一冊。

松下幸之助氏が、若い世代の人々に向けて
自分の経験談や仕事の哲学を語った本です。

丁稚奉公の頃の話とか興味深く読みましたが、
9歳で奉公に出て、母を思う寂しさで涙が出る毎夜。
しかし、初めてお給金をもらうと、働いてお金をもらうという仕組みにはまり、
一人の寂しさも忘れて、働くことに熱中する日々。
この気持ちの切り替えが、松下幸之助ですよね。

このエピソードに触れると、その人の人生哲学というものは
子供の頃に出来上がっているのかなと思いますね。
三つ子の魂百までということかもしれません。

そんな少年が大人になると、日本一の経営者になっていくわけですが、
取引先の青年社長に向けて「小便が赤くなったことがあるか!」と迫る著者。
今、このセリフを言ったら(例えば三木谷さんが言ったとしたら)、
ブラック経営とか、圧迫経営とか、総叩きになるでしょうね。
どっぷり昭和なエピソードです。

でも、今の時代の、何でもかんでも「ブラック」と批判する風潮も、個人的にはどうかと思います。
確かに、松下氏のような経営者が、従業員に向けて「血尿が出るまで働け!」と強制したら
そりゃ大問題だと思います。
でも、松下氏が、自分の考えで、血尿が出るまで働くのは、個人の価値観だと思うんですよね。
まぁ、経営者がそんな働き方をしてたら、直属の部下は休みにくいから
直接的な強制はなくても、間接的に強制だ!と言われると、それまでなのですが。

経営者は、陰に陽に従業員に与える影響を考えなければいけないですが、
一従業員の働き方を、形式的に統制する方法、
特に、今議論されている、労働時間を基準に管理する方法は辞めてほしいなぁと
サラリーマンとして働いている頃はよく感じてました。
とことん仕事に取り組みたいという人間もいるんですよ~、ここに。
結局、長時間労働を続けると、勤務先に迷惑をかけてしまうとわかり、
独立することにしたのですが(苦笑)。

働き方改革の中で、高プロの議論がありましたが、
個人的には、自由に働けるようになると嬉しいなと思いつつ、
各企業がこの制度を趣旨通りに上手く運用できるかは疑問だなと感じました。
制度に問題があるというよりは、国会や世論の議論の内容を見ていると、
この制度を適切に運営できるレベルに、日本はいないのではないかと感じました。

高プロ制度を活用できる企業を許可制にするとか、
高プロ制度を導入していることが、企業にとって一つのステイタスになるような
エリート意識をよりくすぐるような制度にした方が、
日本経済にとっては成果は出るんじゃないかなと思いました。

と、話が横にそれちゃいましたが、
一番印象に残ったエピソードは、散髪屋のお話。
「念入りにサービスしますね」との散髪屋の主人の心遣いで、
1時間で終わる散髪が、1時間10分に長引いたとのこと。
より丁寧にすべての工程を行ったのでしょうけれど、
むしろ松下氏としては同じ品質で50分に短縮してほしかったというもの。
私も同感。

日本人は、「スピード」「時間」に関する価値の置き方が弱いように思います。
「急いてはことを仕損じる」という言葉のせいですかね。
行動が早ければ、補正も早くできますし、
いろんな人の意見を反省させながら方向修正もしやすいですし、
良いことづくめなきがするのですが、一緒に働いている人を見てても
スピードが遅く感じます。

スピード経営、もっと実践的に広まらないかなぁ。


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