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『花ものがたり』
- 2018/08/06(Mon) -
高橋治 『花ものがたり』(新潮文庫)、読了。

なんとなく手に取った積読本。
父の本棚から持ってきて、そのままになっていた作品かと思います。

短編8つが収められていますが、
どれも特徴的な作品が並んでいて、飽きることなく楽しめました。

個人的に好きだったのは、
俳句の世界観が軸になっている「夕顔ひらく」と
香りのプロ・パフューマーが主人公の「薫る朝」でした。

最初に読んだ著者の作品が、俳句を交えたエッセイだったので、
私の中で著者には俳句のイメージが強くあります。
「夕顔ひらく」は、夕顔を詠んだ歌がいくつも登場しますが、
小説の文章とはまた違って、俳句の数文字の中で描く世界観が
二重になって面白かったです。

「薫る朝」は、嗅覚という、五感の中で一番文章化しにくいだろうと思われるものを
テーマにして、そこに、さらに娘の結婚と自分の再婚問題というものを絡めて
立体的な感覚の作品になっていると思います。
嗅覚って、映画作品で見た時も感じましたが、エロティックですよね。

そんなに派手な作家さんではないと思いますが、
作品には華がありますね。


花ものがたり (新潮文庫)花ものがたり (新潮文庫)
高橋 治

新潮社 1993-11
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