『三月の招待状』
- 2018/07/11(Wed) -
角田光代 『三月の招待状』(集英社文庫)、読了。

ある日届いた招待状は、「離婚パーティ」のお知らせだった。
大学時代から10年以上も付き合いのある友人同士の夫婦が破綻。
そのパーティをきっかけに、友人5人がお互いの関係を改めて見つめなおすことになった
1年の模様を、それぞれの視点から描いていきます。

この、仲の良い大学生仲間の関係が30代になっても続いているというのは、
私自身、そういうグループに属しているので、すごく親近感をもって読みました。
大学時代に一緒にバカをやった仲間、卒業後も何かにつけて集まっては飲んでる仲間、
私は今地方に住んでいるので、昔のように気軽に飲み会には参加できなくなりましたが、
でも、連絡は取り合ってます。

本作に登場するグループと唯一違うのは、
私は、この仲間が一般的な大学生の姿ではなく、特殊なグループだと思っていたこと。
作中で充留は、同棲相手の重春が大学時代の仲間について思い入れがなく、
大学生活を「つまんなかった」と総括する姿にカルチャーショックを受けてましたが、
私は、重春のような大学生の方が多いかなと思ってました。

重春は、充留たちの結束力を「愛校精神」という拙い表現で言い表していましたが、
確かに、愛校精神というのも重要なファクターだなと思います。
自分たちのグループのことを思うと、卒業後も何かと理由をつけてキャンパスに遊びに行ったり
学校のことがニュースになると飲み会のネタになったり、
卒業10周年パーティを学年全体を招待して盛大に行ったり、
ま、学校のこと自体が好きじゃなきゃ、こんなことしませんわね。

個々のメンバーが好きだという部分も重要ですが、
土台となる「同じ空間で同じ空気を吸って一緒に日々を送ってきた」というところに
他にはない濃厚な何かがあるような気がします。

本作では、30代に差し掛かり、そんな関係性に違和感を覚え始めたというか、
他の人生もあるんだと知った各々の葛藤を描いています。
でも、他の存在に気づいても、この仲間関係を捨てられない、逃れられないという
ジレンマが上手く描かれているなと思います。
結局、困ったら頼りにしてしまうのが、このメンバーなんです。

彼ら自身の内面の描写も興味深かったですが、
このメンバーの外の人間である重春や、遥香の目線で描かれる冷静な観察内容が
非常に面白かったです。
私たちも、こんな風に、外の人から見られてるんだろうなぁ・・・・という点も含めて。

私は、地方に転職するという選択をしたおかげで、
自分から、このグループから少し外れる行動を起こしたわけですが、
物理的な距離が空いても、再会すればすぐにいつも通り楽しめる仲間がいるという
安心感を覚えるようになりました。
それはそれで、心地よかったり。

自分の大学の仲間たちを思い続ける読書となりました。


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角田光代

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