『ひなた弁当』
- 2018/07/06(Fri) -
山本甲士 『ひなた弁当』(中公文庫)

全く知らない作品、著者でしたが、
近所のおばちゃんが貸してくれて、表紙イラストがコメディタッチだったので
軽く読めるかな?と思い読んでみました。

リストラに遭って50歳にして職を失った主人公。
会社は、再就職先を用意すると言ったのに、紹介された人材派遣会社で
社員として働くのではなく、派遣要員として登録しろと言われる始末。
気の弱い主人公は何の抵抗もできないまま、ズルズルと状況に流されていきます。

正直、リストラされる人って、こんな感じなんですかねぇ。
リストラが大きく報道される大企業はちゃんと対応するでしょうけれど、
中小企業なんて、泣き寝入りになっているケースが多いような気がします。
でも、泣き寝入りせずに抵抗するようなガッツのある人は、そもそもリストラされにくいでしょうし、
結局、働く人と職場とのミスマッチの結果ということでしょうか。

さて、同僚による蹴落としあいのような、結構ドロドロとしたリストラ劇を経て、
見事に無職となった主人公は、たいして効果的とも思えない就職活動をしつつ、
なぜか「ドングリを食べてみよう」と思い至ります。

そこまでは、物語がのんびりし過ぎるとちょっとイライラしてしまう展開だったのが、
ここにきて急展開。
しかも、なぜか料理を器用にこなしてしまいます。
ここにきてキャラ変か!?

川魚の料理の話や、野草の料理の話はそれなりに興味深かったですが、
そのために物語全体のテンポが悪くなっていたような気がします。
著者の得意分野、書きたいテーマの部分でページを使ってしまい、
情報は詳しいけれど、小説としてその情報必要?みたいなアンバランスさを感じます。

タイトルのひなた弁当にたどり着くまでが本当に長くて、
たどり着いてからはとんとん拍子に展開していくので、都合よすぎ。
弁当屋いわくらの存在が、かなり早い段階で登場しているので、
そこからひなた弁当に行き着くのが目に見えているのに、なかなか辿り着かないからイライラ。

あと、ひなた弁当が大した困難もないまま常連顧客がすぐに着くという
なんとも幸運な展開なので、リストラで悩んでいる人が読んだら怒りそう(苦笑)。

ただ、450円の弁当×1日30個×週5日=月商27万円ぐらい?の事業計画なので
総菜の材料費がほとんどかかっていないとは言え、
看板代として利益の30%をいわくら爺さんに払うのだから、
手取り10万円ぐらいのイメージでしょうか?
これで生活できるのか?
農村や漁村といった田舎の持ち家住まいならともかく、
都市部で妻と大学生、浪人生の娘2人を養ってくのは無理じゃね???

タイトルのイメージで、なんとなく温かい終わり方をしましたが、
浪人している娘の受験シーズンを迎えたら、めっちゃ家庭内がゴタゴタしそう・・・・・。


ひなた弁当 (2011-09-22T00:00:00.000)ひなた弁当 (2011-09-22T00:00:00.000)
山本 甲士

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