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『湿った空 乾いた空』
- 2018/06/30(Sat) -
吉行淳之介 『湿った空 乾いた空』(新潮文庫)、読了。

あまり馴染みがない作家さんなのに「酔いたい本リスト」に入っていたので
試しにBookOffオンラインで買ってみました。

冒頭の雰囲気だと海外旅行記のような始まり方だったので
「なんで興味を持ったんだろう?」と自分に疑問でしたが、
それが、愛人との赤裸々な旅行記だと分かり、なるほどね!

妻も子供もいるのに、女優と愛人関係になり、
別居して愛人と一緒に生活をはじめ、さらには旅行の様子を出版してしまう。
しかも、その中で、愛人の妻への嫉妬の言葉や、妻の嫌味の応酬、
さらには娘への思いなどを書いてしまうという、まぁ、なんと露悪的な!

今のご時世なら、どんなバッシングを受けたもんだか分かりません。
ま、当時も、結構な反響だったみたいですが(苦笑)。

今の、不倫と分かった瞬間に世の中が総叩きするのもどうかと思います。
というか、他人のことにそこまで怒れる理由が私には良く分かりません。
みなさん、暇なのかしら。

なので、本作を読んでいて、別に愛人関係の暴露ということに
不快感とかは感じなかったですが、
でも、「なんで、こんな大変な思いをして、この人と愛人関係を持つのだろう?」と
根本的なところに疑問を感じてしまいました。
あまり、著者にも愛人さんにも共感できなかったからかな。

そんなこんなですが、各国を旅行していった紀行文の方は面白かったです。
何を見た、誰に会ったということよりも、愛人関係の2人が存在する場所についてや
レストランでの給仕との会話など、背景としての描写が面白かったです。

併録された「赤い歳月は、さらに妻と愛人の間に挟まれた著者の日々を
赤裸々に描いたものになってますが、なんだか小説を読んでいるかのようで
これはこれで楽しめました。

妻が男にサイズの合わない靴をプレゼントするくだりなど、
大人の男女の駆け引きのようで、面白かったです。

でも、私は、こんな両親を持ちたくない!


湿った空乾いた空 (新潮文庫 よ 4-8)湿った空乾いた空 (新潮文庫 よ 4-8)
吉行 淳之介

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