『オー!ファーザー』
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- 2018/06/27(Wed) -
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伊坂幸太郎 『オー!ファーザー』(新潮文庫)、読了。
あとがきで著者自身が語っている通り、第1期の最後の作品。 つまり、私が好きな伊坂ワールドの作品ということです。 もちろん、面白かった! 主人公は高校生男子。 スポーツができ、勉強もでき、女の子の扱いもうまく、度胸もある。 なぜかと言えば、父親が4人いるから。 そして、4人の父親と一緒に暮らしているから、それぞれの父親の得意分野を引き継ぎ、 なんでもできる少年が出来上がった・・・・・・って、そんな馬鹿な。 母親の4股交際のせいで、主人公の妊娠が分かった時に父親を名乗り出た男が4人。 その誰もが自分が父親だと譲らず、結局、4人の父親と一緒に生活する羽目に。 でも、主人公は、生まれたときからこの環境なので、 世間を上手く欺きつつ、4人の父親と日々の暮らしを成立させています。 設定がまず伊坂ワールドなのですが、この4人の父親がまた、 ウィットに富んでいるというか、ネジがどっか抜けてるというか、 それぞれが自分なりの信条を持って人生を生きているので 馬鹿な会話の端々に、哲学的な箴言が散りばめられています。 私は、伊坂ワールドの破天荒でテンポの良いストーリーテリングも好きですが、 何よりも、この哲学的お言葉たちが好きなんですよね~。 チンピラに付きまとわられる中学時代の悪友に巻き込まれ、 野球少年の引きこもり事件に巻き込まれ、 女の敵 vs 倫理の敵による知事選挙に巻き込まれ、 主人公の少年は、どこまでもお人好しで、ツイていない男です。 なのに、4人の父親をはじめ、同級生の面倒な女の子に助けられ 裏社会に名前がとどろく恐怖の男にも見守られ、 危機一髪のところで難題を回避していきます。 そして、あらゆる謎が、最後に一気にクリーアされていくというカタルシス。 著者の言うように、伊坂作品的要素が濃すぎる気もしますが、 でもやっぱり、第1期を好む読者としては嬉しい作品でした。 4人のキャラクターあふれる父親たちの中で、 最初は知的な悟さんの言葉に惹かれましたが、 でも、勲さんの言葉は熱かったし、鷹さんの言葉は本質をついてるし、 葵さんの言葉はクールに響きました。 結果、どのお父さんも、カッコよかったです。
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