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『我が家の問題』
- 2018/06/21(Thu) -
奥田英朗 『我が家の問題』(集英社文庫)、読了。

様々な家庭に巻き起こった問題というか事件を描いた短編集。
主に、夫婦間の問題がテーマです。

どの作品も、比較的軽いタッチの文体なので、
「ど~んで~ん返し~」的なドタバタもあるのかな?と思ったのですが、
どれも物語は素直に進んでいきました。

そうなると、問題解決に重要なのは、当事者の心構え。
本作に登場する主人公は、みんな心がタフなんですよね。
問題に直面したり、問題の陰に気づいたときに、
多少の動揺はしますが、腹を括るまでが意外とスムーズなんです。
すぐに前向きに切り替えられるのが凄いなと。
女性の主人公が多かったですが、やっぱり女性は強いですね。

個人的に気になったのは「ハズバンド」。
夫の会社のソフトボール大会に参加してみたら、同僚に馬鹿にされている夫がいた。
これって、かなり衝撃の展開ですよね。
しかも、家に帰ってからフォローのしようがないという八方塞がりな事態。
こんな話を読んだことがなかったので新鮮だったのですが、
現実世界では、妻の前でだけ大きいこと言ってる旦那って居そうですね。

そういう八方塞がりな感じは「夫とUFO」もそう。
ある日、夫が「俺はUFOに守られている、交信もできている」なんて言い出した。
もう、イッちゃってます。
部屋の本棚にはUFO本ばかり。UFO研究会から郵便も届いてる。
帰宅時間に後を付けたら、河原で空に向かって手を広げてた。
こんなシチュエーションに直面したら、妻としてどうしたら良いか分からなくなっちゃいますよね。
追い込まれた妻の打開策が、解説者もAmazonのレビュワーさんも絶賛ですが、
私はあまり好みじゃなかったです。こちらもイッちゃってる感じで。
ある種、似たもの夫婦?

新婚夫婦が初めてのお盆休みに
夫の実家の札幌と妻の実家の名古屋に里帰りする顛末を描いた「里帰り」。
お互いの実家をディスり合うコメディにも出来たのに、
爽やか夫婦路線で行ったことが意外でしたが、面白かったです。
何より読後感が良かったです。
名古屋は、私の育った環境で最も大きい都会というか、
父は「名古屋はでかい田舎だ」と言いますが、名古屋文化の風刺も面白かったです。
さすが、岐阜出身の著者なだけあります。

どの物語も、人間の強さと前向きさを感じられる良い作品でした。


我が家の問題 (集英社文庫)我が家の問題 (集英社文庫)
奥田 英朗

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