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『都立水商!』
- 2018/06/08(Fri) -
室積光 『都立水商!』(小学館文庫)、読了。

『史上最強の内閣』の作者だったので期待したのですが、
これはイマイチでした。

これからは専門性をもった人材を幅広に育成する時代だ!ということで
水商売のスペシャリストを育成する都立高校ができたというお話。
歌舞伎町のど真ん中に校舎があり、
「ホスト科」「ホステス科」ゲイバー科」「ソープ科」などがあります。
どこにも行ける高校がないから・・・・と送り込まれてくる生徒もあり、
お水の道を究めたいと自ら望んで入学してくる者あり、
ドタバタ要素満載です。

個人的にノレなかったのは、水商売の中でもソープ嬢の話を中心に持ってきたこと。
下ネタで笑いを獲るのが一番手っ取り早いとは思いますが、
できればホステスやホスト、マネージャーのような、人間観察力がモノを言う職種を
話の軸に据えて、お仕事小説的な展開にして欲しかったです。

別にソープ嬢が話の中心でも良いのですが、
エロの技術で話を進めるのではなく、いかにお客を満足させるか、リピートしてもらうか
というお仕事としての技術の面で話を進めて欲しかったです。

そして、この高校、逸材が集まり過ぎだろ(笑)。
設立数年で、女子柔道の金メダリスト、大谷越えピッチャーがいて、
それ以外にもプロ野球で活躍できる選手が同学年に数人、
お水の世界じゃなくて、他の世界で活躍できる人材が集まるってどういうことよ!?
ま、コメディだとして見れば、これぐらい話を盛っても面白いですけどね。
もともとが存在しえない都立水商ですから。

まじめに水商売の勉強をした高校生たちが
六本木や歌舞伎町のお店からスカウトされるというのは現実味があると思いました。
水商売の道に入る人たちって、やっぱり生活を崩してしまっている人が多いのではないかと思い、
社会習慣が身についていないとか、仕事を続ける忍耐力がないとか
そういう人も多いのではないかなと推測します。

そんな中に、社会常識も、お水の世界のルールも、一般教養も、実践練習も
しっかりと身につけて、しかも「私はお水の世界で頑張りたいんです!」という
意欲のある人物が、そりゃ、引く手あまたですわよね。
三重県にはプロの料理人を輩出する県立高校がありますが、
そこの卒業生は就職後の離職率が低いから料亭やレストランから信頼されてるんですって。
もちろん、技術の土台があった上での信頼ですけど。
だから、水商の人材輩出力も、あながち作り話じゃないなと感じました。

もう少しお仕事小説として読ませる工夫がなされてたら、
もっと深みのある作品になったような気がしてなりません。

物語の構成も、この高校の設立準備段階から関わった教師が主人公で、
彼が10年の水商教員生活を辞めて、実家の書店を継ぐという時点から
過去の10年間を振り返るという形でしたが、これもイマイチ活きていないような。
準備段階から時系列で紹介していくスタイルでも、あまり問題なかったんじゃないかな
と思えてしまう程度の効果しか生んでいないように思いました。

設定は面白いのに、調理法が残念でした。


都立水商! (小学館文庫)
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