『0葬』
- 2018/05/13(Sun) -
島田裕已 『0葬』(集英社文庫)、読了。

タイトルは「ゼロ葬」と読むそうです。
初めて知った言葉でしたが、著者のあとがきを読むと、
この本の発売以来、世間に根付いたそうで、検索してみると確かに「0葬」を謳った
葬儀屋さんのサービスがそれなりにヒットしてきました。

私自身が30代で、まだ父母の葬儀というものに現実味を感じていないので
そういうニュースや広告があっても、目にとまらないんでしょうね。

さて本作は、「0葬」に代表されるような現代の葬儀の在り様をレポートした本。
「0葬」とは、火葬した後の遺骨の処理を火葬場に任せて引き取らない方式を指す
著者の造語だそうです。

そもそも、火葬場で遺骨を引き取らないという選択肢があることに驚きました。
地域によって、条例や火葬場のルールで、引き取り必須のところもあるようですが、
火葬場で供養(処分)してくれる地域も多いようです。

行きつくところまで行ってしまったような感じですが、
遺族がそれで納得してるなら、それで良いのかなという印象です。
そもそも葬儀も法事も、亡くなった本人のためよりも
遺された人々のケアの意味合いが強いと思うので、
遺族が好きなようにすればよいのかなと。

本作では、「0葬」の具体的な内容というよりは、
なぜ「0葬」というものが生まれてきたのか、その背景にはどんな環境要因があるのか
というような分析が具体的にされており、興味深かったです。

墓に遺骨を納めて供養する 
⇒ どの家も墓が必要になる
⇒ 人口が増え家が増えると必要になる墓の数も増える
⇒ 日本の土地は狭く墓にできる土地も限られている
⇒ 墓の取り合いになる
⇒ 墓が高騰する
⇒ 安く供養できる方法が求められるようになる

宗教とか信心とかのアプローチではなく、
経済的なアプローチで「0葬」へ行く着く過程を描いていて
社会科学的に面白い題材だなと思いました。

宗教学的な考察も必要だと思いますが、
葬儀の費用の推移とか、お布施の相場とか、
とにかく下世話なデータをしっかり集めて、これまでブラックボックスだった部分を
明らかにしていくというのも、社会学者として重要な活動だなと思いました。

現代の宗教というもののデータを記録し、考察を行い、推移を観察する、
今の時代というものを掴むのに、面白い研究だなと思いました。

本作を、「0葬」のガイドブックとして期待すると、がっかりすると思います。
本作はあくまで社会学の本だと思います。


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島田 裕巳

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