『僕らの事情。』
- 2018/05/07(Mon) -
デイヴィッド・ヒル 『僕らの事情。』(求龍堂)、読了。

読みたい本リストの消化、どんどん行きますよ~。
ニュージーランドの作品だそうです。

主人公は15歳の男の子ネイサン。どこにでもいるような少年です。
その親友のサイモンは、筋ジストロフィーを患い、電動車いす生活。
でも、サイモンはネイサンと同じ学校に通い、同じクラスで授業を受けています。

そんな彼らの学校生活が、いろんな友人や先生、家族との関係も絡めながら
明るいジョークや毒の効いたジョークとともに綴られていきます。

まず驚いたのは、体が弱っていく段階に入っているサイモンも、
一般の学校に通っているという点です。
私の勝手なイメージでは、介護が必要な子供は養護学校だったり病院内で教育を受けたり
するのかなと思っていました。
日本でも一般学校に通うのが普通なのかもしれませんし、サイモンがNZLでも特殊なのかもしれません。
私の知識がないだけかも。

主人公のネイサンは、ごく普通の少年として描かれていますが、
サイモンの置かれた立場をしっかり理解しており、
また、新しい場面場面で、ネイサンを配慮しようと努めており、
なんて素敵な少年なんだろうかと思いました。
彼の母親との会話を見ていると、親の教育のおかげだなと感じます。

そして、サイモンも、自分の境遇を嘆くことなく、
毒舌を吐きながら、毎日を前向きに生きようとしています。
サイモン自身も、親友のネイサンを悲しませないように、気遣っている様子が
とても良くわかります。

こんなに素敵なコンビなのに、死はすぐそこに迫っている。
切ないです。

死ぬのは辛い。
でも、親友の死を受け止めるのも辛い。
15歳の少年・少女に待ち受ける未来は、とても重たいものです。
でも、彼らは、自分たちなりのやり方で、それぞれがサイモンの人生に向き合っています。
すごく強い子供たちだなと思います。

これも一つの教育としてキレイゴトで読んでしまうのは、あまりに無責任だなと思いました。
サイモンにとっては友人がたくさんできて短くとも濃い人生になったという思いもありますが、
でも、友人たちを遺して自分だけが若くして死なねばならないというのは
本当に悔しいことだろうなと思います。
遺された側の子供たちも、そうそう簡単には友人の死は受け止めきれないだろうなと思います。
どんなに覚悟していたとはいえ、実際に死に直面するのは、想像とは違っていると思います。
そのショックは、計り知れません。

重度の病状を持つ子供を、どんな教育環境、友人環境で過ごさせるべきなのか、
私には結論が出せない問題です。
読み終わった後も、考えがまとまりません。

でも、せめて、ネイサンとサイモンは、幸せな関係だった、
思い出の中では、幸せな関係が続くんだろうなと思わせてくれる作品でした。


僕らの事情。僕らの事情。
デイヴィッド ヒル David Hill

求龍堂 2005-09
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