『天国旅行』
- 2018/04/29(Sun) -
三浦しをん 『天国旅行』(新潮文庫)、読了。

面白くて一気読みでした。

様々な「死」をテーマにした短編集だと思って読んでいたのですが、
解説によると「心中」がテーマだということで、
自分の読みは全然足りないなぁ・・・・と反省。

自殺願望者同士だったり、何十年も時間が離れていたり
自殺に対する後追いだったり、変化球ばかりですが、
心中と言えば心中にあたるのかな。
少なくとも、死んだうちの1人は、心中願望があったということでしょうかね。

冒頭の「森の奥」。
事業に失敗して樹海にやってきた中年男。
首つりに失敗して、助けてくれた青年と一夜を共にすることに。
青年は男を生きるよう説得するでもなく、追い払うでもなく、
一緒にいることを黙認します。翌日、目が醒めたら・・・・・。

設定が上手いですよね。
くたびれた中年男と颯爽とした青年。場所は樹海。死の観念が2人を包み込む。
中年男は相手の腹を探ろうとするが、つかみどころのない青年。
この青年は何者なんだろうか、どういう結末を迎えるんだろうかとワクワクしました。

「初盆の客」は、祖母の初盆にやってきた男性。
たまたま家に主人公しかおらず、知らない人とは言え追い返せないので
仏間に上げて、そのまま話し込むことに。
祖母は実はバツイチで、自分は初婚の時の孫だという男。
主人公とはいとこ関係になり、突然の告白に戸惑う。

田舎に出戻った女と、突然現れた男。場所は長野の山の中。
死んだ祖母が繋ぎ合わせた2人の関係。
こちらも、祖母の過去が明らかになった上で、で、どういう展開になるの?と
興味津々で読んでいったら、思わぬファンタジー的展開。
長野の清涼な空気感が背景にあるからこそ描けた作品なのかなと。

高校で一番の、いや全国模試で2番の超優秀生徒が学校で焼身自殺。
彼を好きだった主人公、彼の彼女だった美形の少女、この2人の交流が始まる「炎」。
学校という閉鎖的な空間における人間関係を背景にしながら、
地味な少女である主人公の目で学校の人間関係が描かれていくという
私の大好きなジャンルでした。
こういう冷徹な視線の持ち主、好きなんですよね~。歪んでるけど。

佳作が詰まった短編集で、読みごたえがありました。


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三浦 しをん

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