『大吸血時代』
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- 2018/04/22(Sun) -
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デイヴィッド・ソズノウスキ 『大吸血時代』(求龍堂)、読了。
こちらもブックオフ・オンラインで検索して探した海外作品。 届いてから「何この分厚いの!?」と驚きましたが、 表紙絵の少女の眼差しに射すくめられて、早速読んでみました。 いや~あ、面白い!! 読む手を止められない感じで、ぐいぐい読ませてくれます。 ジャンルとしては吸血鬼モノ。 でも、ホラー&サスペンスの吸血鬼とは大違い。 簡単には死なない吸血鬼は、どんどん人間を吸血鬼にする一方で 自分たちは(ほぼ)永遠の命を手にしてしまい、 世の中は吸血鬼に溢れることに。 僅かな人間は牧場で買われ、セレブ吸血鬼のお楽しみとして売買され、 一般の吸血鬼は、変化もなく終わりもない日々に退屈しきっている。 そんなとき、人間牧場から脱走してきた母娘が吸血鬼に襲われ、 母親は死亡、娘は吸血鬼に攫われ・・・・・。 この攫われた少女イスズちゃんが、とにかくキュート。 牧場で飼われていたため人間らしい生活の仕方をしらず、 しかし頭の回転は早く応用力の効く頭脳の持ち主。 退屈しきって平和ボケしている吸血鬼のマーティンを相手に、 堂々と渡り合って、自分の居場所を確保します。 マーティンも、食べるつもりで攫ってきた少女が次第に情が移るようになり 2人の奇妙な共同生活が始まります。 吸血鬼は日光がダメ、ケガはすぐに治る、 吸血鬼の血を人間が吸うと吸血鬼になる、吸血鬼は人間の血が食事、 などなど、基本的な吸血鬼の特性はキープしたまま、 今の時代は化学合成された血液があり生き血でなくてもOKなんていう 先進技術を取り入れた設定があったり、 人間から吸血鬼になった瞬間の体が永遠に保たれるから 子どもの頃に吸血鬼になると体は子供、頭は大人の可哀そうな階層に陥るとか、 吸血鬼ばかりになった時代には人間時代の遺物にオークションで高値がつくとか そういう社会性を含んだ問題提起もなされており、 吸血鬼モノへの味付けが非常にユニークで面白いです。 イスズが攫われてきた当初の描写は、 時々刻々とイスズとマーティンの反応が微に入り細に入り描かれいていますが、 イスズが、マーティンの家の中に居場所を確保してからは 1時間が1日になり、1日が数日になり、数日が数か月になり・・・・・と どんどん時が流れていきます。 最初は6歳の少女だったのに、いつの間にか10年が過ぎて、 最後はあんな展開に! この父娘関係にどんなエンディングが来るのかしら?とワクワク&ドキドキしながら読んでましたが、 なるほどなぁのエンディング。私は想定しておりませんでしたが、 父娘もののエンディングとしては、至極真っ当なエンディングですよね。 突飛な設定の物語なのに、 最後は、しっかりと王道の父娘モノで締めるあたりも、さすがの展開です。 ポップなのに、人間社会へのウィットに富んだ眼差しも感じられ、 読み応えのある一冊でした。 こんな面白い本を教えてくれたどこかの書評さん、ありがとうございます! そして、ちゃんと「読みたい本リスト」に記録していた自分、エラい!
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