『もういちど生まれる』
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- 2018/04/11(Wed) -
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朝井リョウ 『もういちど生まれる』(幻冬舎文庫)、読了。
大学生やその兄弟姉妹たちの日常を追った連作短編集。 各登場人物たちが緩やかなふりをして 結構濃い目に繋がっているところが、 今の若者世代の特徴なのかなぁと。 結局、一定の深さの付き合いができる人間関係が極少数という。 決して、仲良しの濃い関係というのではなく、 口には出さないけどお互いに依存しあっている感じの人間関係なので、 向き合う相手が変わると、その人の人格の中で出てくる面が変わるような印象です。 だから、章が変わり、主人公が変わると、 その主人公から見たそれぞれの登場人物たちの印象が 少しずつ違って見えてくるという面白さ。 そして、若者の本音の冷たさというか、心の中の割り切り感というか、 そういう冷っとした感情を描くのが、相変わらず上手いですねぇ。 相手のことを尊重しているように見せかけて、心の中で冷徹な評価を下しているような。 解説で西加奈子さんが、朝井リョウさんの作品の特徴を 「人に知られたくないこのような感情を、『なかったこと』にしない」と書いていて、 なるほどなぁ!と膝を叩きました。 本来なら自分自身でも見ないふりして隠そうとする本音の感情を そのまま書いてしまう恐ろしさ、凄みのようなものを感じます。 この人の作品は、毎作、面白いなぁ、凄いなぁと満足して読めますが、 こんな視線を持った人が友人として近くに居たら、しんどいだろうなぁ(苦笑)。 あ、あと、我が母校と思われる学校がH大学として登場して、 茨城の大学とどちらを志望にするかというくだりとか、 あぁ、私も悩んだよそこ・・・・・と思い出しちゃいました。
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