『うまい魚が食いたい』
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- 2018/03/27(Tue) -
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橋本憲一 『うまい魚が食いたい』(晶文社)、読了。
BOOKOFFオンラインで検索して出てきた本。 何となく買ってみたら、津の香良洲の漁師のお話でビックリ。 一気に引き込まれて読みました。 語り手は、京都で料理屋を営む主人。 たまたま京都の街角で出会った行商の魚屋と会話したら、 「一度うちの海へ来い」ということになり、行った先が津の海。 でも、目の前の海には魚がいなくなってしまったため、 はるばる鳥羽まで船を出して操業しているとのこと。 つまりは密漁です。 本作では「海賊」という言葉で語られていますが、 いずれにしても、ルール違反の行為です。 ところが本作では、「ルール違反しなけりゃ俺らは食っていけないんだ!」との 怒り&嘆きの声とともに、漁師も実名、顔の出た写真付き、密漁先も実名で描写されており、 なんと捨て身な主張の仕方なんでしょうと、驚きました。 30年前の発行なので、当時は、まぁ、大らかだったということでしょうかね。 今、こんな内容の本を出したら、激烈なバッシングを受けそうです。 密漁者が何言ってんだ!と。 しかも著者は、密漁先の鳥羽の漁協に乗り込んで、 「香良洲の漁師が密漁してるの知ってますか?」とぶちかまします。 別に喧嘩させたいわけではなくて、漁師の本音を聞きたいというその一心です。 それが伝わったのか、鳥羽の人たちも思っていることを話してくれてます。 本気の人たちというのは、イレギュラーな方法でも、通じ合えるってことなんですかね。 前半は、そんなドキドキの話が続き、 後半は、水産資源管理とか、水質汚染とか、という硬派なテーマについて 著者が独学で学んだことが書かれています。 ここは正直、本を読んで学んだことがまとめられている感じだったので あんまり魅力的ではなかったです。 最後に、香良洲の漁師が漁師を辞めて行商人になった経緯が書かれていますが、 これがまた、不漁で追い込まれてからの一念発起が劇的で よくまぁ、こんなチャレンジングな生活に耐えられたなぁ、 特に奥さん、よく付いてきてくれたなぁと感心してしまいます。 困難を克服する能力というか、サバイバル力というか、 漁師の生き抜く力は凄いです。 面白い本でした。
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