『僕は運動おんち』
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- 2017/12/31(Sun) -
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枡野浩一 『僕は運動おんち』(集英社文庫)、読了。
青春小説という紹介で、かつ表紙のイラストから、 爽やかでスラスラっと読めるお話かなと思って手に取ったら、 冒頭から、「死にたい」「自殺」などの言葉のオンパレードで面喰いました。 ところが、「死にたい、死にたい」と言っている高校生の主人公には あんまり悲壮感がありません。 むしろ軽いぐらい。 これって、こじらせ男子?(苦笑) イマドキの高校生かと思ったら、舞台は昭和の終わりぐらいな感じ。 主人公の頭の中で物語が進んでいくうちは、 軽~い「自殺」連呼で、共感できなかったのですが、 友達が登場して、彼らとの関りが見えてくると、俄然、面白くなってきました。 特に、黒帯ポエットうさちゃんとの関係、そして彼の詩。 前に読んだ著者の作品では短歌がキーでしたが、 本作ではポエムが鍵。 うさちゃんが直接見せてくれたものもあれば、思わぬところに発表したものも。 このポエムが、直接描かれていない心理をうまく表現していて 高校生の感性って、すごいなー、面白いなーと素直に感じました。 また、「死にたい」連呼の主人公も、単にそれが口癖なだけで、 結局は、友人との関わり方に臆病だったために 自分を見つめることばかりになってしまい、それがこじれて出ちゃったのかなと。 周囲との関りが一歩深まると、自分から友達へと目線が変わり、 「死にたい」と思う代わりに、彼らとの関係に悩み始めます。 そこが青春ですよねー。 不器用な主人公だからこその温かさが感じられます。 良い小説でした!
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