『陽だまりの偽り』
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- 2017/11/16(Thu) -
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長岡弘樹 『陽だまりの偽り』(双葉文庫)、読了。
「偽り」をテーマにした短編集。 自らの認知症の疑いを嫁に見つからないように齷齪する老人。 市役所管理の駐車場で起きた転落事故を自殺に見せかけようとする管理課長。 息子がカツアゲ被害に遭っている場面に遭遇しながらスルーした父親。 日常生活に紛れ込んだ「危険」を何とか回避しようとする姿を ちょっと皮肉もきかせながら描写しています。 表題作の、認知症疑いの高齢者を主人公にした作品は、 清水義範ばりの日常生活描写で面白かったです。 このように、当事者がアレコレ考えてしまって右往左往する様子は 第三者である読者からすれば滑稽でさえあるのですが、 しかし、死亡事故や暴行事件といった切迫した状況を目の前に、 自分の保身のために死体や怪我人を放置もしくは隠蔽してしまおうとする その判断には全く共感できませんでした。 こんな状況に置かれたら、自分も、保身に走るという選択肢を考えてしまうのでしょうか。 自分の運転する車で人を轢いてしまったにも関わらず、 明日の昇進発表を前に、怪我人をどうにか処分しようと思い至るというのは、 よっぽどだと思うのですが・・・・・。 もしかすると、こんな心理状態に追い込まれるのかもしれないという恐怖を 感じるべき作品集なのかな。
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