『龍宮』
- 2017/11/10(Fri) -
川上弘美 『龍宮』(文春文庫)、読了。

「8つの幻想譚」という紹介文のとおり、
ふしぎなお話が詰まっています。

冒頭の一編は、人間になった蛸のお話。
この蛸親父の行動が不思議なのはもちろんのこと、
しゃべる日本語がいくつもの人格が継ぎ接ぎされているようで不気味。
そして、それに対する人間の男の主体性もあるのかないのか分からず
この2人の対話が、なんとも居心地悪い感じです。
この狙った居心地の悪さが、上手いなぁと思わせます。

そして、表題作の「龍宮」。
「龍宮」という語感からイメージする華やかさは全く感じられない
本当に不気味な婆さんと曾孫の物語。
言霊を扱うような祖母イト、背丈は曾孫の膝までしかない?
もう、どんな存在なのか想像が追い付かないのですが、
でも、どしりとした存在感を感じさせる描写。
書かれたままの姿で存在しているわけではないとしても、
何かしらの比喩やもしくは曾孫側の錯覚があるだけで、
こんな婆さんが居てしまうのではないかと思わせる存在感。
そこが気持ち悪いのです。
こういう存在を許してしまう余地が世の中にはあるのではないかという恐怖。

この短編集で感じた怖さは、
「作り話に見せかけて、こういう気持ちの悪い存在は、現実に居るのではないか」と
思わずにはいられないところ。

気持ち悪いけど心に踏み込んでくる、
そんな迫力のある作品でした。


龍宮 (文春文庫)龍宮 (文春文庫)
川上 弘美

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