『八月の路上に捨てる』
- 2017/11/03(Fri) -
伊藤たかみ 『八月の路上に捨てる』(文春文庫)、読了。

お初の作家さんです。
角田さんの元旦那さんという知識しかなかったのですが、
タイトルが気になったので読んでみました。

表題作他2作が収録されていますが、
特に表題作が面白かったです。

主人公の男は、街中の自動販売機に缶ジュースを詰める仕事をしており、
妻とは離婚したばかり。
同じ配送車に載っている上司の女は、今日で車を降りて総務へと異動になる。
車中で女が男に、離婚の経緯を聞き出しながら最終日の仕事をガツガツ進め、
男の意識は時々、元妻や不倫相手との過去に飛んでいく・・・・。
きれいに表現できていませんが(笑)

この話は、設定や構成が絶妙なんです。
自販機にジュースを詰める仕事というのが興味深いですし、
正社員の女とバイトの男という組み合わせも今風だし、
元妻は主人公の男よりも高収入な大黒柱的女子だったのに
職場の人間関係で鬱になって退職、そして家庭内でもギスギスした空気になり、
男は不倫の道へと向かってしまう。

この家庭の中でのギスギス感や
男が妻に対して何かを諦めてしまう過程、
妻がどんどん勝手に追い詰められていってしまう過程、
いろいろと過去の重たい空気を孕みながら、
自動販売機のジュース補填をする今とを行き来するので、
女上司のサバサバした空気に中和されます。

どんな重たい終わり方をするんだろうか?と結末が少し怖かったのですが、
意外にも、男は元妻とまさに離婚をする数日の流れが非常に爽やかでしたし、
女上司の方も、温かい流れになっており、読後感が良かったです。

著者の他の作品も読んでみたいなと思わせる本でした。


八月の路上に捨てる (文春文庫)八月の路上に捨てる (文春文庫)
伊藤 たかみ

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