『三陸海岸大津波』
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- 2017/10/27(Fri) -
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吉村昭 『三陸海岸大津波』(文春文庫)、読了。
東日本大震災の後に、一気に名前が知られることとなった本書。 ブックオフで見つけたので買ってきました。 三陸地方を何度か旅している間に、 三陸海岸における津波被害の過去に関心が高まってきた・・・・・と さらっと動機を述べて、早速、津波の描写に入っていきます。 最近の、著者が前面に出てくるルポとは異なり、 淡々と事実を集め、記録し、自分なりのしかし客観的な解釈をつける姿勢、 この清々しさは、逆に心に刺さってきます。 そして、行政を批判するでもなく、町の顔役たちを批判するでもなく、 被災者の目線で事実を積み上げ、悲しみを共有し、 再びこのような惨禍が繰り広げられないことを願う姿勢、 著者のこの冷静さがあるからこそ、本作が、何十年と経った今も 津波の恐ろしさを学ぶ最良の教科書であり続けるのだろうと思います。 本作の後半で登場する、当時の小学生や中学生たちの作文。 父や母、兄弟姉妹が津波に流され亡くなっていった様子を 辛い心情や津波の恐怖を交えて、赤裸々に書いています。 書いた生徒も、書かせた先生も辛い作業だったと思いますが 記録に残したことで、後世の人々にとって学びの書となり得ました。 この慧眼に感謝。
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